石破茂・首相も支援者から多くの農産物を受け取っているとの証言が
1年で2倍の価格になった国産米を買うか、我慢して少し安い外国産米を買うか──。財布を握り締めながら真剣に悩む国民の姿が、コメ政策のトップには想像できなかったのだろう。江藤拓・前農水相の「コメ買ったことない」発言から見えるのは、庶民感覚の欠如ではなく、特権を特権とも思わない無自覚さだ。
もらったコメに「石とかが入っている」
石破茂・首相は農水大臣・江藤拓氏を更迭し、後任に小泉進次郎氏を起用した。
「コメ担当大臣だという思いで集中して取り組みたい」
進次郎氏は抱負を語ったが、この世襲政治家たちは国民の怒りをどこまでわかっているのか。
「私は買ったことがありません。支援者の方々がたくさんコメをくださるので、まさに売るほどあります。私の家の食品庫には」
江藤氏は佐賀市内の講演でそう発言して批判を浴びた。国民はスーパーに行ってもコメがなく、何か所も回って「1人1袋まで」と書かれた5㎏入りをなんとか手に入れている。「安い政府放出米? そんなの見たことがない」という人がほとんどなのだ。支援者からコメをタダでもらえる政治家の特権を自慢され、怒り心頭に発するのは当然の反応だ。
江藤氏は自身の発言について“ウケ狙い”で、「事実ではないことをあたかも真実であるように言ったことは、大いに反省している」と釈明したが、宮崎の地元を取材すると江藤大臣は農家からコメをもらっていて当たり前と認識されていた。
延岡市の畜産農家でコメ生産者でもある「松田総合畜産」代表の松田慈司氏が語る。
「拓さん(江藤氏)の出身地は門川町(延岡市に隣接する町)なんですけど、すごく横の繋がりが強いんです。なので農家の人が、親戚とか非農家の人たちにおコメなどを配るのが文化というか、普通のことなんですよ。拓さんがおコメをいっぱいもらっているというのも、政治的な支援とか便宜を図ってもらうためというよりは、近所だからということでもらっているんじゃないかな」