こうした条例がない場合ですが、自動車が捨てられたのか、単に置きっぱなしにされているかで違います。 捨てた物とすると、元の所有者は所有権を放棄したのですから、無主物として拾った人が所有権を取得します。そのため、廃物としての処理が可能ですが、費用が掛かって大変だと思います。
それが放置だと、所有権を放棄していないので厄介。その場合は遺失物と考え、警察に相談する方法があります。なぜなら『遺失物法』で、他人が遺失した物件を拾得した者は、速やかに警察署に差し出す義務があると定められているからです。犯罪の温床になりかねない実情を説明して、放置自動車だけれども、遺失物の可能性があるという前提で、警察署に遺失物として提出したいと申し出れば、相談に乗ってくれるでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2025年6月6・13日号