*13:04JST 酒井重 Research Memo(4):2025年3月期は顧客の在庫調整により52.3%の営業減益
■酒井重工業<6358>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が27,854百万円(前期比15.6%減)、営業利益が1,583百万円(同52.3%減)、経常利益が1,494百万円(同55.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,435百万円(同41.2%減)となった。
国内売上高(連結地域区分別)は、政府建設投資は堅調に推移したが、主要顧客である建機レンタル企業の在庫調整が続いたことから前期比16.2%減となった。北米においても、インフラ投資法を背景とした道路建設投資は比較的堅調であったが、金利の高止まりが続く中でディーラ段階の在庫調整が拡大して同21.9%減となった。アジアでは、選挙イヤーであったことから公共投資の先送りが見られ、ASEAN市場全体の需要が低迷し同7.2%の減収となった。ただし、タイとマレーシアでは底入れの気配が見られた。
世界的に需要が低迷したことから、同社自体も生産調整を行ったことから売上総利益率は27.6%(前期比0.8ポイント低下)となった。一方で、人件費の増加等がある中で販管費全体の伸びを前期比0.7%増に抑制したが、減収と売上総利益率低下により営業利益は前期比で大幅減益となった。
営業利益の増減要因を分析すると、減収による減益が1,466百万円、原価率の悪化による減益が229百万円、販管費の増加による減益が39百万円であった。また販管費増の内訳は、運搬費の減少による増益が63百万円、減価償却費の減少による増益が35百万円、技術研究費の増加による減益が40百万円、その他販管費の増加による減益が97百万円であった。
2. 地域区分別の動向
国内では、国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木工事などの公共投資関係が比較的堅調に推移したが、度重なる価格改定前の駆込み需要の反動と物流・建設の残業規制に対して、だぶついた建設機械の在庫調整が継続しし、需要は低調に推移したことから通期の売上高は12,000百万円(前期比16.2%減)となった。海外市場も全体的に低調に推移し、海外売上高は15,853百万円(同15.2%減)となった。このうち北米では、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が拡大したものの、金利の高止まりが続いたことからディーラー段階での在庫調整が加速して売上高は7,574百万円(同21.9%減)となった。アジアでは、選挙イヤーであったことから公共投資の進捗が遅れてASEAN市場全般の需要が低迷し、売上高は7,021百万円(同7.2%減)となった。ただし、タイとマレーシアでは底入れの気配が見られた。その他(主に中南米、大洋州、アフリカなど)の売上高は1,257百万円(同12.2%減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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