パウエル議長はインフレ懸念で“慎重姿勢”を維持
一方で、パウエル議長は依然として「インフレはまだ不十分にしか鈍化していない」という立場を崩していません。
FRBが注目するPCE(個人消費支出)コアインフレ率は、前年比で2.8%前後と、目標である2%を依然として上回っており、「物価が下がる確信が持てるまでは利下げできない」という慎重な姿勢につながっています。
パウエル議長は過去の会見でも、「インフレとの戦いは終わっていない」「拙速な緩和は経済にとってマイナスだ」と繰り返し発言しており、今回もそうした発言があるかどうかが注目されています。
迫るパウエル議長の任期、すでに後任人事への関心も
パウエル議長の任期は2026年5月までです。これはFRB議長としての正式な任期であり、理事としてはその後も在任可能ですが、議長職としての任期は残り約1年となっています。
ロイターの報道によれば、パウエル議長は「任期をまっとうする」と明言しており、金融政策の判断はあくまで経済データに基づいて行うべきだと強調しています。
一方で、6月6日にはトランプ大統領が「次期FRB議長を近く決定する」と発言しており、人事面でも緊張感が一段と高まっています。
このように、政策金利の見通しだけでなく、「FRB議長の交代という不確実性」も意識される局面に入りつつあります。
なぜ、今回のFOMCがそこまで重要なのか?
このように、今回は以下の4つの理由から、「金利据え置き」以上の意味を持つイベントとして注目されています。
【1】インフレ指標が下がらない中で、パウエル議長がどこまで“利下げ観測”を否定するか
【2】トランプ氏の政治的圧力の高まり
【3】ドットチャートが「年内利下げ1回」まで後退する可能性
【4】次期FRB議長人事への市場の意識の高まり
これらが交錯する中、パウエル議長が会見で発する一言ひとことが、米国株はもちろん、為替や日本株にも波及することが考えられます。