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【注目トピックス 日本株】AI CROSS:SMS配信「BIG4」の一角、収益性の高い国内顧客の獲得および配信数の拡大に注力

*09:25JST AI CROSS:SMS配信「BIG4」の一角、収益性の高い国内顧客の獲得および配信数の拡大に注力
AI CROSS<4476>は、法人向けメッセージングサービスとAIソリューションを展開するSaaS企業である。主力はSMS配信「絶対リーチ!SMS」および双方向通信が可能なRCS対応の「絶対リーチ!RCS」。サービスは配信通数×単価による従量課金モデルを採用しており、特に収益性の高い国内顧客への展開に注力している。加えて、AIによる予測分析サービス「Deep Predictor」も提供しており、特定業界の課題解決に資するソリューション型提案を進めている。セグメントは単一だが、今後はメッセージングとAIの両輪で事業領域を拡張する意向を示している。

SMS配信市場はアクリート<4395>や大手キャリア関連企業を含む「BIG4」による寡占構造である。同社はこの中でも汎用的な配信サービスにとどまらず、7,000社を超える様々な業界・職種の顧客との取り組み実績を活かした企業コミュニケーションの課題解決提案力に強みを持つ。顧客リストを活用した新規サービス創出時および様々な業界での取り組みノウハウの水平展開実現が可能となる。また、双方向性のあるRCSの活用を通じて、顧客接点の高度化にも注力。さらにAIを掛け合わせた予測分析とのシームレスな連携により、単価上昇・収益性向上を実現する独自モデルを構築しつつある。

2025年12月期第1四半期の売上高は930百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は139百万円(同17.7%増)で着地した。継続して収益性の高い国内顧客に注力した結果、営業利益・経常利益は上場来最高を記録した。一方で、2022年以降、海外の大口顧客の売上は減少傾向にあるが、これは同社が収益性を重視して不採算領域からの撤退を選択した結果であり、収益構造の健全化を反映した戦略的な判断といえる。取引社数は7,467社(同16.4%増)、SMS配信数は181.7百万通(同2.9%増)、メッセージングサービスARPUは12万円/社と減少したが、これは前述の海外大型顧客の売上減少が要因となる。通期の売上高は4,300百万円(前期比16.0%増)、営業利益は400百万円(同19.4%増)を計画、現状は計画通りの堅調な推移となっている。季節性としては第3四半期・第4四半期に売上が伸長する傾向がある。

法人向けSMS市場は、セキュリティ強化や本人認証ニーズの高まりを背景に堅調な成長を続けている。特に、今後は「会員連絡」・「販促」など、より付加価値の高い領域でのコミュニケーション活用が期待されている。また、メッセージングサービス×AIによるマーケティングソリューションのターゲットとなるBtoC-EC市場は今後も拡大の見通しで、EC事業者にとって、購入確認、プロモーション情報の提供など、顧客との迅速かつ直接的なコミュニケーションは顧客満足度向上やリピート購入促進に不可欠で、メッセージングサービス×AIにより当社の市場機会は拡大していく見込み。

同社は中期経営計画において、2027年度までに収益構造の転換と成長加速を掲げている。成長加速においては特に、新規プロダウトの成長に期待されている。「Deep Predictor」では既存のメッセージング顧客に対するカスタムプラン提供に加え、単体提供を視野に営業展開を強化。また、2025年度下期にはノーコード予測分析ツールの正式リリースも予定されており、より幅広い顧客層への提供が可能となる見込み。収益モデルにおいては、従来の通数×単価の従量型から、業界別に特化したソリューション型モデルへの移行を段階的に進めている。これにより、安定収益と利益率の改善が見込まれる。加えて「リピカム」や「SUBSCORE」も業界特化型の業務効率化支援を目的としており、BPO的要素を持ちながらも、裏側での深い業界知見の蓄積を促している。

定量的な中期目標では、2027年度に売上高は7,300百万円(2024年度比2.0倍)、営業利益は1,800百万円(同5.4倍)、1人あたり売上高は86.9百万円を見込んでいる。収益性の高いレベニューモデルのソリューション拡大やAIサービスの黒字化、営業効率の更なる向上とパートナビジネスの更なる拡大に加えて、コスト効率向上も目指している。顧客数についても、現在の7,000社超からさらに拡大の余地があり、直販とパートナー戦略を組み合わせた柔軟な営業体制で市場開拓を継続する。中期的にはオーガニック成長を主軸としつつも、業務効率の観点で親和性のあるM&Aについても、機動的に検討可能な体制を整えている。

そのほか、株主還元では、株式を 300株(3単元)以上保有している株主を対象に15,000円分の株主優待を提供している。将来的には、業績水準やキャッシュフローの安定化に応じて、配当実施も選択肢になり得ると想定される。

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