電子書籍に移行、絶版を集める楽しみに目覚める
コレクター気質ならではの“どうしても買い続けてしまう”という悩みとどうにか上手く付き合っているのが、東京都に住む自営業のBさん(50代男性)だ。Bさんは、子供の頃からの代の漫画好き。長年、お気に入りの作品を単行本で買い揃えてきた。
「小学生の頃に週刊少年ジャンプを読むようになって、以来ずっと漫画を読み続けています。週刊漫画誌はいまでもほとんど読んでいて、社会人になってから、好きな作品は単行本で買い揃えるようになりました。連載時に読んでいなかった漫画についても、面白そうだと思ったら単行本で買い揃えていました。手元に単行本を置いて、いつでも読み返せるようにしたいというのもありますが、それ以上に全巻揃えることが目的でした」(Bさん)
そんなBさんだが、何十年も漫画の単行本を買い続けていれば、当然ながらその置き場所がなくなってくる。
「そんなに広い家に住んでいるわけでもないので、手元における単行本は限られてくる。実家に保管していたんですが、それでもやっぱり限界がある。結婚もして、家族に迷惑もかかってきたということもあり、10年前くらいから電子書籍に移行しました。新刊はほぼ電子書籍で買うようになりました」(Bさん)
新刊を電子書籍で買うようになり、一部の単行本は処分したという。
「これまで単行本で買っていた頃は『とりあえず持っておきたいから買う』とか、『後で読むだろうから買う』ということが多くて、そのほとんどが“積ん読”。でも電子書籍に移行したら、 “いま読みたい漫画”を優先して買うので、使うお金が減りました。これは大きなメリットです。あと、単行本のコレクションを一部処分したことで、『新刊を買い揃えたい』という願望が一気に薄れていきました。本当にほしいわけではないけど、ただ『買い揃えたいから買っていた』だけのものを手放すことで、『本当にほしいものだけ』を厳選するようになりました」(Bさん)
とはいえ、Bさんのコレクター気質が失われたわけではない。いまはこれまでとは異なる方向性で漫画を買い揃えている。
「新刊を紙の単行本で買うことはなくなりましたが、好きな漫画家の初期作品の絶版本を買い揃えるようになりました。古書店を巡って掘り出し物を探すのも楽しい。今感じているのは『新刊は次々と発売されるのでコレクター向きではない』ということ。古い絶版本であれば、タイトルが増えていくことはなく、数が限られているのでコレションしやすいです」(Bさん)
CDや書籍、あるいがグッズなどを買い集めることも、推し活の楽しみのひとつではあるが、サブスク時代では“現物”に対する価値観も変わってきている。推し活においては、コレクションとの上手な付き合い方を模索することも重要なのかもしれない。