*13:06JST 日本電技 Research Memo(6):中長期的に期待が大きい既設工事
■日本電技<1723>の中期経営計画
1. 長期経営指針「ND For The Next 2030」
将来、人口減少などを背景に新築ビルが続々と建てられるような時代ではなくなることから、足元で好調の空調計装関連事業の新設工事も長期的に現状以上に大きく広がらないと見られている。一方、既設工事では、築年数の経過とともに改修時期の到来する大型ビルが増加していくことが想定される。また、日本のエネルギー政策※1から、脱炭素社会の実現に向けて環境ビジネス市場は堅調に拡大すると予測されており、とりわけ建設業界ではビルを中心に究極の省エネであるZEB※2の実現に向けた取り組みが進められている。このため、省エネ・省力化を実現する同社の「計装エンジニアリング」技術に対する需要は、既設工事においてもますます高まると考えられている。産業システム関連事業では、AIやIoT、ICT技術といった技術の進化が追い風となって、中長期的にスマート工場の市場が大きく広がることが期待されている。なかでもプロセスオートメーションやファクトリーオートメーションなど、工場設備の更新や生産管理システムの構築に関連する需要の増加が期待されている。
※1 国は2050年までにカーボンニュートラルの実現や2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指している。
※2 ネット・ゼロ・エネルギー・ビルのこと。
同社は、空調計装関連事業を同社を支える安定収益源、産業システム関連事業を成長ドライバーと考えており、2022年3月期に2031年3月期を最終年度とする長期経営指針「ND For The Next 2030」を策定した。さらに「ND For The Next 2030」を、成長基盤を構築する「第1フェーズ(2022年3月期〜2024年3月期)」、成長基盤の拡大と生産性の向上を果たす「第2フェーズ(2025年3月期〜2028年3月期)」、更なる飛躍と挑戦の「第3フェーズ(2029年3月期〜2031年3月期)」に分け、まずは既設工事につながる新設工事の獲得や他社製既設工事の取り込みなどにより既設工事で収益の積み増しを図る。一方で、現状は空調計装関連事業の影に隠れた格好の産業システム関連事業だが、開拓余地が大きいため独り立ちを進め、中長期的に経営資源を投入して成長に弾みをつける考えだ。なお、2025年3月期にスタートした中期経営計画「第2フェーズ」は想定以上に好調に進捗していることから、「第2フェーズ」及び「第3フェーズ」の目標を上方修正した(詳細後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>