マリンスポーツ三昧のはずが…(イメージ)
2025年4月から法律で65歳までの雇用確保が義務化されたが、生涯現役社会への流れが強まる一方で、アーリーリタイアを目指す人も少なくない。だが、早期退職したものの、想定外の落とし穴にハマってしまうこともあるようだ。
元新聞記者のMさん(50代/男性)は先日、会社の早期退職制度を利用して退職。「悠々自適のFIRE生活」を送る予定だったが、わずか3か月で予想外の展開を迎えているという。一体何があったのか──。
新聞記者生活30年、早期退職条件に飛びついたが…
Mさんは近畿地方で生まれ育ち、都内の国立大学を卒業後は大手新聞社に就職。新聞記者として日本や海外を飛び回る生活を30年近く続けたが、思うところあって定年前に退職することを決断した。
「私が就職した頃は、新聞は大きな影響力がありましたが、今ではすっかり斜陽産業です。部数は毎年5%以上減っていて、優秀な若手はどんどん辞めていくのに、自分より上の人間は会社にしがみついていて、社内は硬直状態。早期退職の条件があまりに良かったので、飛びつくことにしました。それなりに蓄えはあり、10年も経てば年金も貰えるので、何とかなるだろうと」(Mさん。以下同)
Mさんは独身でマンションのローンも払い終わっており、完全に自由な身。昔から海が好きだったため、海辺に引っ越してのんびり暮らすつもりだったが、引っ越し直前でよもやの事態に襲われる。
「退職するタイミングで自宅のマンションを売りに出したところ、2か月ほどで買い手が付き、自宅を明け渡す日が決定。引っ越しの準備をしていたら、不動産業者から突然連絡が入ったんです。自宅の売買と引っ越し先選びは同じ不動産業者に任せていましたが、担当者は『Mさんは今、無職なんですか?』『それだと部屋を借りるのは難しいです』と慌てた様子。どうやら私がどこかに転職したものと思いこんでいたのです。
私は『家賃をある程度まとめて前払いする』『銀行の残高を見せてもいい』と食い下がりましたが、仮押さえしていた物件は無職では入居審査が通らないとのこと。その物件がとても気に入っていたので、今さら引っ込みはつきませんでした」
その時点で、自宅の明け渡し期限までは約1週間。困り果てたMさんに、不動産業者の担当者は思わぬ提案を出してきた。
「担当者は『一旦どっかに勤めちゃって下さいよ。バイトでいいので』と言うので、わらにもすがる思いでバイトの面接へ。バイト先が見つかったことを報告すると、あっさり入居審査はOKでした。何のための入居審査なのか分かりませんが、とにかく無事引っ越しできることになりました」