“トランプショック”に揺れる自動車関連株でコツコツ利益を上げている「シゲルさん」こと藤本茂さん
7月9日に“トランプ関税”の一時停止措置の期限が迫るが、「自動車関税」をめぐる日米交渉は難航中だと伝えてられている。6月29日のFOXニュースのインタビューでトランプ大統領は日本からの自動車の輸入が多く、米国からの輸出が少ないことを「公平ではない」と述べた。米国が輸入自動車に課す25%の追加関税がどうなるかは見通せず、日本の自動車業界には強い逆風に見えるが、そこをチャンスと捉える敏腕の投資家もいる。
それが資産20億円超の89歳現役トレーダー「シゲルさん」こと藤本茂さん。著書がベストセラーとなり、海外で翻訳版も発売されるなど世界から注目を集める投資家だ。70年にわたって相場と向き合い、バブル崩壊をはじめとする幾多の危機を乗り越えて資産を築いてきたシゲルさんに、現下の相場状況にどう対応すればいいかを聞いた。
デイトレードに加え、「増収・増益・増配」に着目した長期投資も手がけるシゲルさんは、情報収集のために午前2時に起床。NY証券取引所の動きを報じる経済番組を流しながら1日の取引の準備を始める。取引時間中にチェックする銘柄は80ほどで、次々と売買を繰り返しては、利益を確定させていく。そんなシゲルさんがトランプ大統領のイランへの攻撃について触れた。
「最近、気になるニュース? もうここのところ、トランプばっかりや。いきなりイランを攻撃して、中東情勢が悪化すると思ったら、すぐに停戦合意とか世界中を振り回している。ただ、まあこれだけ株価が動いたりするから、こっちはプラスになっているけどな。みんなが怖がって慌てて売ってくるところは買い場やし、やっぱりトランプの言動は株式市場にとっても最大の材料ちゃうかな」
株価が動いているうちは売買チャンス
世界情勢が読めないなかで、シゲルさんは逆風とみられる業界に注目しているという。
「関税の問題もまだ結論が出ておらず、特に自動車は厳しいと見られているけど、それに振り回されて自動車関連株も値下がりしたりするから、ここ最近は自動車部品メーカーも買い時は多い。とにかく株価が動いているうちは、売買チャンスやと思います」
実際に6月後半、シゲルさんは“トランプショック”に揺れる自動車関連株でコツコツ利益を上げている。
「ホンダやホンダ系の部品メーカーで何度も売買しているジーテクト、それから大同メタル工業(自動車エンジン用の軸受けメタル最大手)なんかも上手いこと取引できたね。安い時に買って、高くなったら売る。株はこれに尽きるので、厳しそうだと思う業界やからといって避けていては勝てませんよ」
シゲルさんのひとつひとつの売買とその解説から学べるものは大きい。「マネーポストWEB」では、そんなシゲルさんの売買履歴の詳細が明かされる連載を掲載している。関連記事『【特別公開!シゲルさんノート】最新注目銘柄の化学メーカーを「短期で買い」と判断する条件とは 89歳トレーダーが利益のために守り続ける「1:2:6」のルールを解説』はその最新回だ。
【プロフィール】
藤本茂(ふじもと・しげる)/19歳で株式投資を始め、1986年に転換社債の投資を機に専業投資家になる。66歳でパソコンを買い、ネット取引に移行。70年間、個人投資家として相場に挑み、現在の資産は20億円を超える現役トレーダー。「投資に年齢は関係ない」がモットー。