*13:03JST 昭和産業 Research Memo(3):多種多量の穀物をプラットフォームに食品事業と飼料事業を展開
■事業概要
1. 昭和産業<2004>の食品事業
製粉カテゴリでは、パン、ケーキ、麺類などの用途に合わせて開発された業務用及び家庭用の各種小麦粉のほか、ユーザーのニーズに対応したプレミックス、パスタを製造・販売している。焼成パンビジネスでは、小麦粉やプレミックス等の原料供給から、冷凍パン生地及び菓子類の製造とその冷凍パン生地の焼成までの一貫体制を有している。また、多岐にわたる食材事業で培ったノウハウを活かし、高品質、高機能かつ信頼のおける小麦粉製品の研究開発に積極的に取り組んでいる。
製油カテゴリでは、大豆、菜種、トウモロコシ、米ぬかなどを原料に、天ぷらやフライ、ドーナツなどの用途に合わせて開発された各種植物油、また、飼料原料などになる大豆ミール・菜種ミール、食肉加工・水産加工食品に使用される大豆蛋白を製造・販売している。さらに、自社の小麦粉・植物油を使用したたこ焼きなど冷凍食品の製造・販売も行っている。業務用植物油では、環境に配慮したバッグインボックスやピロータイプの製品など、ユーザーの作業性向上にも力を入れている。家庭用植物油としては、大豆、菜種を原材料とするサラダ油やキャノーラ油、こめ油などのほか、栄養機能食品である健康ひまわり油「オレインリッチ」等を販売している。
糖質カテゴリでは、子会社である敷島スターチ(株)やサンエイ糖化(株)と連携し、トウモロコシを原料としたコーンスターチをはじめ、コーンスターチを酵素などで分解することで得られるぶどう糖や異性化糖、水あめ、イソマルトオリゴ糖などの糖化製品及び加工でん粉製品の製造・販売を行っている。このうち、コーンスターチは汎用性が高く、ビールや練製品などの食品分野から、製紙・段ボールなどの工業品分野まで幅広く利用されており、異性化糖は甘味が強く、冷えると甘味が増すため、主に清涼飲料・乳性飲料などに使用されている。独自性のある製品としては、低分解水あめや粉末水あめ、結晶ブドウ糖などの販売に注力している。また、サンエイ糖化は医療用途の厳しい品質基準をクリアする等、高い技術力を保有しており、当社グループの競争力強化に繋がっている。
2. 飼料事業
飼料事業では、最新の飼料栄養成分や原料の組み合わせに基づいて、養鶏用(採卵鶏、ブロイラー)、養豚用、乳牛・肉牛用、養魚用などの配合飼料、きのこ菌床栽培用栄養体の製造・販売を行う。機能性飼料であるイソマルトオリゴ糖混合飼料は、腸内の善玉菌であるビフィズス菌などを活性化させ、サルモネラ菌などの悪玉菌を抑制する効果を持ち、消化吸収の改善や感染抵抗力を強化する作用がある。
3. その他
倉庫業では、鹿島・神戸・船橋の3工場で合計36.5万トンを収容できる大型穀物サイロを備えており、鹿島・神戸の両工場にはパナマックス級大型穀物船が接岸できるバースを完備している。いずれも優れた立地条件にあり、各工場で効率の良い輸入穀物の保管・荷役を行う。現在建設中の神戸工場内の製粉立体自動倉庫は2026年2月に完成・稼働を予定しており、省人化による物流及び荷役のさらなる効率化を実現する。不動産業では、同社グループが保有する不動産を有効活用し、商業施設の開発や事務所用・商業用ビル、物流用建物、事業用土地の賃貸などを行っている。また、保険代理業、自動車等リース業、運輸業等も行っている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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