「財務省が増税の絶好のチャンスと考えて動き出した」
財務省を長く取材してきたジャーナリスト・長谷川幸洋氏(元東京・中日新聞論説副主幹)が指摘する。
「日本がギリシャになるとか、借金をこれ以上増やせば国債暴落を招くというのは財務省の決まり文句。総理や有力政治家にそう囁いて、“減税なんてとんでもない”“財政規律を守るためには増税しなければならない”と思い込ませて増税に持っていかせようとする。石破首相のこの発言は、増税必要論に洗脳されていることを物語っている」
参院選のさなかに同じ発言をした総理大臣が菅直人・元首相だ。10年の参院選で「このままいったら(日本は)1年か2年でギリシャみたいになっちゃうよ」と語った。
菅政権はその参院選で消費増税を打ち出して敗北したが、跡を継いで財務大臣から首相になった野田佳彦氏が野党だった自公と協力して消費税率10%への増税法案を成立させた。財政再建派の野田氏を首相に担ぎ、野党を巻き込んで増税レールを敷くシナリオを描いたのは財務省だった。
「石破政権はその野田氏の立憲民主党と組んで年金改革を行ない、日本維新の会とも医療費改革を進めてきた。参院選後は社会保障改革の財源問題が重要な政治テーマになる。財務省が増税の絶好のチャンスと考えて動き出したと見て間違いないでしょう」(長谷川氏)
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※週刊ポスト2025年7月18・25日号