友人同士の2人で会社を立ち上げ
3位と4位はITエンジニアと企業のマッチングサービスを手掛けるTWOSTONE&Sonsの創業者、河端保志CEO(35)と高原克弥COO(33)が保有時価総額234億円でランクイン。友人同士の2人が前身企業を立ち上げたのは大学在学中の2013年。2020年に東証マザーズ(現グロース)上場後、2023年に持ち株会社体制に移行した。高原氏と番組で共演経験がある証券アナリストの藤本誠之氏が言う。
「高原氏は高校時代からビジネス才覚を発揮して、立ち上げた音楽交流サイトで月100万円の収入があったそうです。稼いだお金は『ほぼ叙々苑の焼肉を食べるのに注ぎ込んだ』と言っていました。その後は父親の経営する会社が倒産して大学時代は週7日アルバイトをしなければいけないほど苦労を重ねたそうです」
6位は保有時価総額181億円で多彩な才能を持つマネックスグループ取締役兼執行役・山田尚史氏(36)。山田氏はAI研究で知られる東大・松尾豊研究室の先輩と2012年にAIベンチャー「PKSHA Technology」の前身企業を創業。5年後に上場した同社で代表取締役を務めたが、その後の経歴は異色。2020年末に退職後、2021年6月にマネックスグループの取締役に就任した。その間、長年の夢だったという小説を書き始め、2023年には『ファラオの密室』で宝島社主催の『このミステリーがすごい!』大賞を獲得。白川尚史名義で作家デビューを果たしている。
村上ファンドの村上世彰氏の長男も
経営者ばかりではない。7位には村上ファンドの村上世彰氏の長男・村上貴輝氏が保有時価総額173億円で入った。村上ファミリーでは昭和63年生まれの姉・野村絢氏がフジ・メディアHDの大株主として世間を賑わせたことが記憶に新しい。貴輝氏の詳しい経歴は不明だが、2023年2月、プライム上場の工具メーカー・旭ダイヤモンド工業の大量保有報告書に名前が登場し話題になった。
保有時価総額81億円で10位に入ったアイデミー社長・石川聡彦氏(32)は、幼稚園から小学5年まで歌舞伎の子役として活動しており、歌舞伎座の舞台に立ったことも。歌舞伎家系の養子に入り歌舞伎に人生を捧げる道もあったが、辞めて中学受験を選択する。東大工学部進学後、在学中の2014年に創業し、2017年にAIプログラミング学習サービスの提供を始めた。かつてインタビューで「諦めずにやり続ける姿勢は歌舞伎の子役時代に培われた」と明かした。
こうした平成生まれの大金持ちの今後は日本経済の未来の映し鏡にもなりうる。ジャーナリストの大西康之氏が言う。
「ランクインしたような起業家は、投資家に認められているということ。魅力的なビジネスモデルを打ち出して、アピールする能力に長けている。彼らが近い将来、ソフトバンクの孫正義さんや楽天の三木谷浩史さんのようになれば日本経済の未来は明るい」
令和の時代は、この株長者たちが担うのか。
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※週刊ポスト2025年7月18・25日号