京急沿線にも注目が集まる(写真:イメージマート)
東京都で不動産価格が10年後も上がる「駅」はどこになるのか――。それを考えるうえで重要な「指標」となるデータを見ると、近年の「不動産バブル」とも呼ぶべき状況を受け、注目度の高い路線が変化している様子が窺えるという。
将来の不動産価格が「上がる駅」を見通す「指標」とも言えるデータを算出しているのが、5億件の物件データを元に不動産の市場価格のAI分析を行なう不動産コンサルタント会社のリーウェイズだ。同社は、国交省のシンクタンク・国土技術政策総合研究所が2024年に公表した『将来人口・世帯予測ツール』をもとに、全国の駅ごとの人口増減を予測。2025年と2035年の数値から10年後の増減を駅ごとに算出している。
大人気エリアは高騰して手が届きにくくなった
不動産市場の動向に詳しい株式会社さくら事務所取締役副社長COOの山本直彌氏は「人口増減はその地域の不動産価格に直結する重要な要素」だと語る。また、都内の駅に関しては、都心のターミナル駅やオフィス街などへのアクセスの利便性が人口の増減に直結している傾向が見受けられるという。
「郊外の戸建て志向が顕著だった昭和の高度経済成長期と異なり、いまのファミリー層のニーズは、少しでも都市部に近いマンション志向へとシフトしてきました。こうした“職住近接”の利便性を重視するトレンドは、コロナ禍を経てもあまり変わることなく、むしろより一層強まってきています。実際、中古マンションでも都心5区(港区・千代田区・中央区・渋谷区・新宿区)の平均価格は、ここ10年で約2倍になっています。
一方、そうした大人気エリアの軒並み価格が高騰してなかなか手が届きにくくなっていることから、第2希望(セカンドニーズ)として、都心から1時間以内のエリアの人気も伸びています。都心への勤務や通学が近くて便利な立地ほど人口増加につながりやすくなっており、大規模なマンションが建つなど街の再開発が加速し、不動産の価格も伸びている傾向があります」(山本氏。以下「」内は同じ)