中国業者の手口は(写真:イメージマート)
日本で実施される英語能力テスト・TOEICをめぐり、中国の「カンニング業者」が暗躍──逮捕者も出た事件が世間を驚かせたが、そうした業者の新たな“標的”がTOEFLだという。事件前に本誌・週刊ポストでいち早く中国業者のカンニング事情を報じたフリーライターの廣瀬大介氏が、TOEFLの“訪日カンニングツアービジネス”を手掛ける中国業者に接触した。【全3回の第2回】
今回、TOEFL(トーフル)受験での不正を謳う複数の業者に接触したところ、新たな手口が判明した。
「信頼できるルートで問題を入手」と説明
まず接触した業者Aは小紅書で「TOEFL攻略・日本会場・返金対応あり」とする広告を投稿していた。
早速、受験生としてダイレクトメールを送ったところ、「ここではアカウントを凍結される可能性があるため詳細を説明できない」と返信があり、ウィーチャット(中国版LINE)に誘導されて音声通話で説明が行なわれた。
王(ワン)と名乗る若い女性は、「現在はどこにお住まいですか? 試験は何月が希望ですか? 在宅型と会場型はどちらが希望ですか? 目標の点数は何点ですか?」と慣れた様子でヒアリングを行なうと具体的な内容について説明を始めた。
「日本での受験ツアーに参加する場合は、航空券は自身で購入してもらい宿泊先は弊社が手配した都内のホテルとなります。試験開始の5~7時間前に当日出題される複数のパターンの試験問題と答案を我々が入手します。
受験生にはその内容を暗記してもらう流れとなります。スピーキングについても出題内容を把握しているので担当の講師が個人的にレッスンします」
TOEFLは不正対策として同じ試験会場でも異なるパターンの試験問題が出題されるが、業者は試験前にそれら複数のパターンの試験問題と答案を入手していると説明してきた。
にわかに信じがたく、試験問題の入手方法や費用について尋ねるも、「信頼できるルートから会社として契約し、購入しています」と濁されてしまった。一定の“勉強”が必要なため数日間に及ぶ「ツアー形式」を取っているのだという。女性はこう続ける。
「何点取れるかは本人の暗記力にもよりますが、ほとんどの受験生は希望の点数を取得しています。費用はホテル代込みで4万元(約80万円)、中国から参加している受験生は試験後に日本を観光する人も多いですよ」