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ビジネス

渋谷の高級住宅地・松濤の物件を中国富裕層が“インバウンド購入”の実態 「ローンを組まずに現金払いが多い」と中国系不動産業者、“松濤爆買い”の今後はどうなるか

中国の超富裕層による“松濤爆買い”は今後も続くのか(写真:イメージマート)

中国の超富裕層による“松濤爆買い”は今後も続くのか(写真:イメージマート)

 東京でも有数の高級住宅街である渋谷の松濤エリアが、中国人富裕層に大人気だという。中国系不動産会社のSNS広告では松濤エリアの情報が急増しており、数億円超の物件が広告を出したらすぐに売れる状況だという。現地ではどのような変化が起こり、今後はどうなっていくのか──中国に詳しいライター・廣瀬大介氏がレポートする。【全3回の第3回】

 * * *
 中国人富裕層向けの高級不動産仲介業者は、購入客の多くは定住者ではないと語る。

「高級不動産の中国人購入者のうち、7割ほどが中国から観光で来日した時の“インバウンド購入”で、3割ほどが在留中国人富裕層という実感です。実際に不動産を購入する際は、数億円の手付金や購入費用をすべて現金で支払うケースが多い。彼らにとってはローン審査を待つ時間がムダなので、タイパ重視の現金払いは一番効率が良いのです。購入者の多くは中国の企業経営者。資産保全・滞在用を兼ねて不動産の購入を決めています」

 東京都総務局統計部で松濤のある渋谷区の中国人住民数を調べたところ、2020年には2348人だったが、最新統計(2025年)では3625人となっている。住民票を持たないインバウンド購入者はこうしたデータには含まれていないため、実態としてはさらに多い可能性がある。

一部で“民泊トラブル”も

 中国人が増えていくなかで松濤エリアには変化があるのか。安倍晋三元首相邸から徒歩で至近の高級マンションに住んでいるという日本人に話が聞けた。

「民泊営業が禁止されているマンションなのに、部屋が民泊として貸し出されていたことがあって、キャリーケースが邪魔になったり入り口でたむろされたり、ゴミをエントランスに捨てられてしまっていたこともありました。マンションの下で外国人が集団で地べたに座って大声で話したりお酒を飲んでいたりして……。キャリーケースを持っていたので民泊客だと思います」

 中国人による“松濤爆買い”の今後について、中国人ジャーナリスト・周来友氏は次のように分析する。

「中国人富裕層の間では、松濤エリアの人気は今後も高まる一方でしょう。ただし、数十億円規模の不動産を買えるのは中国でも超富裕層です。彼らは“隠形富豪(目立たない富豪)”を理想としています。目立ったり、注目されることを極力避けようとするので当然、地域のルールは守るし雰囲気に馴染もうと努力する。近隣住民ともうまく共生していくと思います」

 今後日本で暮らす中国人はさらに増加していくと見られており、近く“在留中国人100万人時代”が到来すると言われている。その時、長きにわたって政財界の大物が住んでいた松濤エリアの景色はどう変わるのか。

【プロフィール】
廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)/1986年生まれ、東京都出身。フリーライター。明治大学を卒業後、中国の重慶大学に留学。メディア論を学び2012年帰国。フリーランスとして週刊誌やウェブメディアで中国の社会問題や在日中国人の実態などについて情報を発信している。

 マネーポストWEBの関連記事《【仰天レポート】中国富裕層が渋谷の高級住宅地・松濤に熱視線、売りに出された物件の6割を中国人が購入 ローンは組まずに現金払いのケース多数、一部で民泊トラブルも》では、中国系不動産会社が明かした松濤の物件の販売状況、地元住民が語る民泊の実態などについて詳細に紹介している。

※週刊ポスト2025年7月18・25日号

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