「晴海フラッグ」マンション内の至る所に「民泊禁止」の注意書きが貼られている(住民提供)
東京都の一大プロジェクトとして東京2020オリンピックの選手村(中央区)を改修して売り出されたマンション群「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」。2024年1月に入居が開始されたが、一帯にはある異変が起きていた。ジャーナリスト・赤石晋一郎氏がレポートする。【全3回の第1回。全文を読む】
“違法民泊”で中国人旅行客が頻繁に出入り
「捕まえられるなら、捕まえてみろ!」
警察官の職務質問を受けた男は片言の日本語でこう毒づいた。
スマートシティを目指すこの街の一角では、日常的に中国人絡みのトラブルが起きている。
「晴海フラッグでは中国人の違法行為が野放しになっており、警察が来ても逆ギレして平然としている。もはや手の施しようがないように思えてしまう状態なのです」
こう証言するのは、晴海フラッグの分譲マンションに住むAさんだ。
東京湾岸の新しい人気エリアのはずだが、何が起きているのか。
晴海フラッグは2020年東京オリンピック(開催は2021年)選手村跡地に作られた新しい街である。東京都が再開発を企画し、都の土地が大手不動産などに払い下げられて再開発がスタートした。分譲マンション4145戸・賃貸1487戸(東京都数値)のマンション群を建設するという大規模再開発だが、当初はその計画が不安視されていた。
「4000戸以上を本当に捌けるのかという不安の声があったのです。そのため当初は販売制限を緩めて売っていた。ところが五輪開催中に選手のSNSで『晴海の素晴らしい光景!』などの投稿が相次ぎ注目を浴びた。中央区という都心エリアで坪単価300万円程度という割安感もあり人気が過熱。どの部屋も高倍率となり、人気の部屋は266倍まで跳ね上がった。抽選は何戸も申し込める資金力のある投資家のほうが有利となり、多くのファミリー層が落選したことも話題になりました」(不動産業関係者)
晴海フラッグは3つの分譲マンションエリアと1つの賃貸マンションエリアで構成されている。3つの分譲エリアのうち、パークビレッジを三井不動産、サンビレッジを三菱地所、シービレッジを野村不動産が開発・販売している。さらに今秋には2棟のタワーマンション「HARUMI FLAG SKY DUO」が竣工予定だ(三井不動産や三菱地所などが販売)。
しかし東京都が目指した〈子育てファミリー〉向けマンションを整備し、〈生き生きと生活できるまちづくりを進める〉という構想とは裏腹の現状がある。その理由は“違法民泊”だという。
前出のAさんが語る。
「マンション内で横行しており、中国人旅行客が頻繁に出入りするようになったのです。彼らは日本語を話さずマナーも悪い。治安が悪くなると住民は不安がっています」