連続増配を10年以上実施
国土交通省の資料「道路データブック2024」によれば、日本全国に道路橋が約73万橋、道路トンネルが約1.2万か所あるそうです。この約73万橋もある道路橋のうち、建設後50年を経過した2メートル以上の橋梁の割合は、2023年現在で約37%。しかし、10年後の2033年には過半数を超える約60%へと増加する見込みです。約1.2万か所ある道路トンネルについても、2023年現在で建設後50年を経過したトンネルの割合はおよそ25%ですが、10年後の2033年にはその割合が約40%へと増加する見込みです。
橋やトンネルが使えないと、生活に困る人が日本にはたくさんいます。また直接的には関係がない人でも、宅配業者のお世話になっていない人は少ないはず。その宅配業者の車は、橋やトンネルを使います。道路の橋やトンネルは、間接的には非常に多くの人がお世話になっている公共インフラなのです。そして、どんなインフラにも経年劣化は発生しますから、適切なメンテナンスをしてもらわないことには、致命的な老朽化が進行しかねません。メンテナンスを怠って壊れてしまえば、宅配業者にオーダーした商品さえ届かなくなるかもしれません。
そんな大事な橋やトンネルの多くは、いまから半世紀以上前の高度経済成長期に建設されており、大規模なメンテナンスが待ったなしの状態になっています。道路や水道、下水道の設備にも同様に老朽化しているものがたくさんあります。ということは、これらのインフラの補修・補強工事の最大手企業には、今後も仕事の依頼が絶えないことでしょう。加えて、日本は自然災害が多い国です。災害を防ぐ意味でも、災害から復旧させるという意味でも、インフラ工事の需要は多いのです
不況も関係ありません。日本の人口は急減していますが、ゼロになるわけではありません。都市部ではこれからも長期間、それなりの人口規模が維持されると予想されています。であれば、インフラ整備の需要がなくなることもありません。私は2019年頃、とある自治体で地方公務員をしていました。そこでその自治体の課題を洗い出す仕事をしていて、この事実に気づきました。そして自分のなかで「この状況ではインフラメンテナンス業の最大手であるショーボンドホールディングスへの仕事の依頼は長期間減らないだろう。会社も、きっと伸びていけるだろう」と、同社の前向きな将来像と、そこに至るまでのストーリーを思い描けたわけです。そこで同年から私は、同社の株を少しずつ買っています。残念ながらまだ大きなリターンは出ていませんが、大きなロスが出ることもなく、6年が経過しています(本書執筆時点)。
実は同社は、10年以上の連続増配を実施している企業でもあり、大きく下げるような局面があれば、むしろ積極的に買い増したいとすら思っています。これが、「前向きな将来像とそこに至るまでのストーリー」の一例です。