トランプ氏の経済政策への評価は(時事通信フォト)
トランプ米大統領は7月22日に日本との関税交渉に合意したと発表。相互関税が15%となったことから、日経平均も急騰を見せた。一方の米国株式市場では、関税交渉の合意前からS&P500やNASDAQが最高値を更新している。はたして今の株式市場を取り巻く状況はどのようになっているのか。実際に投資で大きな利益を出している億り人の分析・見解を参考にしたい。
2005年に株式投資を始め、過去の相場の動きに基づいて売買する「アノマリー(経験則)投資」で12年後に33歳で“億り人”となったまつのすけさんは、トランプ米大統領の舵取りをどう見ているのか。
まつのすけさんは40代で起業して投資を続けながらマネー関連情報の発信にも取り組んでいるが、昨年の段階で10億円に達していた資産は「米国株の復活で現在は15億円超になった」と話す。今年4月のトランプ関税ショックでは1億円以上の損が出たというが、現状についてはこう分析する。
「様々な言動から“トランプ大統領が経済をぶっ壊すんじゃないか”という懸念もあるかもしれませんが、市場関係者の間では“本当にヤバくなったらトランプ氏は軌道修正するだろう”という見方が支配的になってきています。市場のコンセンサスとしては、“なんだかんだ言っても大丈夫なんじゃないか”というニュアンスです。
トランプ氏が減税法案を成立させたことは確実にプラス材料ですし、今後は米国で企業のM&Aが活発化すると見られています。バイデン政権は史上最もM&A審査を厳格化した政権でしたが、トランプ政権は今後これを緩和し、M&Aや企業買収による成長がどんどん伸びていくと見ています」(以下、「」内コメントはまつのすけさん)
一気に方針を180度変える
米国で大手銀行株が堅調なことも、市場の先行きにとってプラスだと分析する。
「大手銀行株は経済の生命線。経済全体がよくないと銀行株は上がりません。様々な問題が生じると指摘されてきた米国経済でしたが、今のところ足腰が強いところを見せている。トランプ氏の政策が一部の貧困層に経済的な打撃を与えるとの指摘があるが、経済全体への影響は非常に小さいのではないか。高所得層の消費はまだまだ順調です」
トランプ氏の“暴走”は当然ながら気がかりだが、「良くも悪くももの凄い勢いで方針転換するのもトランプ大統領の特徴ですからね。一気に180度変わったりする」と解説する。
「4月以降、米国債の利回りが急上昇したり、金利が上がっているのにドルが安くなったりすると、すぐに政策を修正する。中国への派手な関税もすぐに撤回したし、半導体規制もいつの間にか撤回するなど、副作用が大きそうだと修正する。不法移民に関しても、労働力として必要となると、雇用主が身元保証すればいいという話になる。そうした軌道修正を見て、市場が落ち着いてきているのではないか」
投資先としては、AI(人工知能)関連に引き続き、注目しているという。
「AI向けの先端半導体の輸出について、バイデン政権は第三国を通じて中国やロシアに輸出され軍事転用されるリスクなどを防ぐため規制を強化していたが、トランプ氏はそれを撤回。中東にも大々的に売っていいということになった。エヌビディア(NVDA/NASDAQ)やブロードコム(AVGO/NASDAQ)には追い風で、それがここ2~3か月の急速な回復につながったと言えそうです」
具体的に、まつのすけ氏はどのような銘柄にどういった理由で注目しているのか。別記事『《資産15億円・まつのすけさん厳選の米国株5銘柄》現下の好調からまだ伸びる期待が!AI関連の半導体、テロ対策、集積回路開発…トランプ関税が日米合意で新局面のなか注目する理由をそれぞれ解説』で詳しく紹介している。
【プロフィール】
まつのすけ/会社員時代に貯金40万円を元手に株式投資を始め、33歳で資産1億円に。その後株式投資を続けながら起業し、クレジットカードや電子マネーの活用の研究にも取り組んでいる。資産は約15億円に達している。著書に『会社員をしつつ、株で元手40万から月250万ちょい稼いでいる件』(ぱる出版)、『33歳で1億円達成した僕が実践する一生モノの億超え投資法』(KADOKAWA)。