銀行も融資を渋るアパレル業界
保有時価総額13億円で21位にランクインしたアパレル企業「yutori(ユトリ)」社長の片石貴展氏(31)も赤字決算からの上場を果たした一人だが、森岡氏は最近のスタートアップ起業としては「異色の存在だ」と語る。
yutoriは複数のストリートブランドを展開。SNSを最大限活用し、初期投資0円の“インスタ起業”の先駆けとして知られる。2020年にZOZOと資本業務提携を結び、一時は同社傘下に入っていたが、2023年12月には東証グロース市場への上場を果たした。一方で上場直近となる同年3月期決算では6800万円の赤字(純損失)を計上している。
赤字で上場を果たすところは前述のとおり決して珍しいことではないが、森岡氏は「赤字でも成長性が見込まれて上場に至る業種はAI(人工知能)関連が多い。yutoriはアパレルというところで注目に値します」と話す。
「アパレルは当たれば大きいですが、当たらなければ……。昔から銀行員は表参道や原宿の支店に勤めると、(取引先企業の)ほとんどがアパレルになり、(他の支店と比べて)積極的な融資に動けず難しい仕事になるといわれています」(森岡氏)
アパレル企業には、融資を支える担保がほとんどなく外れればゼロにもなりやすい。銀行にとっては融資に慎重になる業界だという。そうしたなかでyutoriは上場後の2024年に元AKB48の“こじはる”こと小嶋陽菜氏(37)が立ち上げたアパレルブランド「heart relation」を買収、子会社化するなど、ファッション業界やビジネス界で大きな話題を集めている。2025年3月期は3億1400万円の純利益を計上した。
金融機関の“てこ入れ”が期待できる業界ではないなか、森岡氏は「yutoriのようなアパレルは(成功例として)珍しい」と分析した。
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