元証券マン・かぶカブキさんがいま注目している「2つの業界」とは(イラスト:イメージマート)
日経平均株価が過去最高値を1年1か月ぶりに更新し、一時4万3000円台の大台に達した。だが、つぶさに見てみると順当に上場来高値を更新する銘柄と、伸び悩む銘柄に明暗が分かれている。最高値更新の大波に乗るためにはどうすればいいのか。投資の上級者の考えを参考にしたい。
証券会社でトレーダーや営業職として勤務した経験から、独自の投資手法を築き上げたかぶカブキさん。著書の『決算書3分速読から見つける10倍株ときどき50倍株』(KADOKAWA)で、元手94万円を2年弱で1646万円に増やした経験を紹介しているが、投資手法のなかで中心となるのが徹底した企業分析、業界分析だ。
かぶカブキさんは「少しでも成長の芽が見え始めている銘柄、業界に注目しています。何かしらポジティブな変化があり、売上や利益の向上があるものを買うのが僕の投資スタイルです」と説く(以下、「」内のコメントはかぶカブキさん)。
「業績が下がって株価が割安になり、数年後に回復する銘柄を探すのではなく、明確に上り調子になっている銘柄をまずは探します。そして、上り調子の背景を考え、これが継続するのか、さらに拡大するかどうかを考えて、まだ上がりそうだと納得できたら買うパターンが多い。業界別でみると、造船業や建設業が当てはまります」
2つの業界に共通するのが、単価の上昇だという。
「造船業は2008年ごろから20年間ずっと業績が落ちる一方でした。ただ、船にも耐用年数があり、車が故障するのと同じように20年ほど経ってしまうとボロが出てくる。2008年ごろまで続いた造船ブームで造られた船のなかで、古くなっている船がたくさんある。それを交換しないといけない状況になっています。つまり、20年の耐用年数を考えると、ちょうど今が交換需要のタイミングになっているんです。
加えて、二酸化炭素などの排気ガスを出すのは良くないという流れがある。原油や重油を活用した船よりは、メタノールや天然ガスを使ったなるべく優しい船が求められている。二酸化炭素を出す船を減らしていくというニーズに応えるため、リニューアルのニーズもある。需要が上がれば単価も上昇します。こうした状況が、造船業における継続的な成長につながると見ています」