スキマバイトの求人が多い物流業界の見解は(写真/共同通信社)
空いた時間を活用して面接なしですぐに働けるスキマバイト。“新しい働き方”として普及する一方、企業側の都合で仕事がキャンセルされ、労働者の権利が十分に守られていなかった実態があった。問題をいち早く本誌が報じた後、政府も改善に向けて動き出したが、専門家からは巨額補償が発生するとの指摘が上がる。仲介業者や雇い主である企業は、どのように対応するのか――。
〈「知らない」では済まされない「スポットワーク」の労務管理〉。厚生労働省は、そう銘打ったリーフレットで、スキマバイト(スポットワーク)を利用する企業に対し、労働契約締結時の注意点などをまとめた。7月に公表したこの指針は「労働契約成立時期の明確化」と「休業手当の支払い」が大きな柱だ。
これまで、マッチング後に企業が「ドタキャン」しても働き手に補償が支払われず、働き手が不利益を被るケースが頻出していた。スキマバイト業者側はこれまで、「働き手が勤務当日に職場でQRコードを読み込んだ時点」で労働契約が成立すると主張し、企業側によるキャンセルの温床となってきた。
しかし、厚労省の指針では、この考えを否定。特段の合意がない場合は、〈事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられます〉と明記した。
そのうえで、労働契約成立後に事業主の都合で丸一日の休業や仕事の早上がりをさせることになった場合、スポットワーカーに休業手当を支払う必要があると示したのだ。