厚生労働省もスキマバイトのトラブルを問題視している
《面接なし。お金はその日にGET。働きたい時間に好きなだけ働けます》――こんな謳い文句で求人募集して人気となっているのが「スキマバイト」だ。“新しい働き方”として注目を集める一方、現場では「働き手の保護」が蔑ろにされている懸念が浮上。国も対策に動き始めたという。一体、何が起きているのか――。
「前日に理由もなく一方的にキャンセルされた」
「スポットワーク」とも呼ばれるスキマバイトは、手の空いた“スキマ時間”にできる仕事が簡単に見つかることから定年後世代にも人気で、現在の登録者数は延べ3000万人以上に達する。
そんな新手のサービスをめぐり、朝日新聞(5月29日付朝刊)に以下の見出しの記事が掲載された。
〈スポットワーク求人、応募時点で労働契約が成立 厚労省が指針素案〉
記事によると、厚労省は急増するスキマバイトで「働き手を守る」ため、「労働契約がいつの時点で成立するか」を企業向けの労務管理指針で明示する方針だという。
何が問題となっているのか。それを知るには、スキマバイトの現場で起きている“トラブル”について知る必要がある。
「『タイミー』で仕事を申し込んだら、働く前の日に理由もなく一方的にキャンセルされました」
そう憤るのは愛知県在住の40代A氏。アパレル業界で働くA氏は、休みの日に少し働こうとスキマバイト事業者の最大手・タイミーのスマホアプリから、アクセサリーの店舗販売業務に応募した。
「未経験者OKと書かれており、接客業を10年以上やっているので大丈夫だろうと思っていました。でも、マッチング後のメッセージのやりとりで、『天然石は詳しいですか』『生半可な知識では対応できません』と説教されたうえ、バイトの前日になって理由も明かされず一方的にキャンセルされました。タイミーは働き手と雇い主が互いを評価する仕組みですが、仕事前にキャンセルされるとこちらから雇い主を評価できない。スキマバイトの“臨時収入”が頼りだったので補償してほしいけど、対応してくれる様子はありません」(A氏)