公立高校「併願制」を先行導入している愛知県・京都府ではどのような変化が起こったのか?(写真:イメージマート)
“15の春”が変わるのか──。今年度から始まる予定の高校授業料の完全無償化(就学支援金の所得制限撤廃。私立高校は2026年度から)とともに、石破茂首相が指示した「公立高校併願制」の導入検討に注目が集まっている。そうしたなかで、兵庫県、愛知県、京都府ではすでに公立高校の「併願制」が実施されている。併願制の導入により、高校受験はどう変わるのか。フリーライターの清水典之氏が愛知県と京都府のケースをレポートする。
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愛知県は併願制導入で「公立高校の序列」が変わった
愛知県の公立高校入試(全日制普通科一般選抜)に複合選抜制度(併願制)が導入されたのは、1989年と30年以上も前のことだ。
それまでの学校群制度(公立の上位校が2校ずつの学校群に分けられ、受験生は群を受験し、合格すると本人の意志に関係なく、どちらかに振り分けられる制度)が廃止され、複合選抜制(併願制)に移行した。
現在は県内が尾張と三河の学区に分かれ、尾張は「尾張1群」「尾張2群」、三河は「三河群」に分かれる。さらに群内の高校はAグループ、Bグループの2つに分けられている。受験する学区は居住地で決まり、同一郡内のA・B両グループから1校ずつ選んで第一志望、第二志望の順位をつけて出願する。同グループから2校は選べない。3年前まで学力試験を2回受ける必要があったが、今は1回で、合否判定はDA(受け入れ保留アルゴリズム)方式である。別記事《石破首相が検討指示、公立高校の「併願制」導入で何が起きるか? 先行導入している兵庫県では“玉突き不合格”が増加、第一志望加算点の弊害も》で紹介した兵庫県のケースと違い、第一志望の加算点などはない。
36年前に愛知県の高校入試が学校群制度から複合選抜制(併願制)に移行して、何が起きたのか。愛知県と岐阜県に37校を展開する学習塾「名進研」進学情報センターの小川雄康氏はこう語る。