“億り人”の投資遍歴をたどることは多くの個人投資家の参考になる
億り人と呼ばれる投資家は、どのような投資遍歴をたどってきたのか。それを知ることは多くの個人投資家にとっても参考になるだろう。2013年1月に元手となる貯金300万円で株式投資を始めたゆずさん。その後、2年で億り人となり、30代後半の現在は資産を数億円まで積みましたという。「ゲーム株に関しては日本一詳しい自信があります」というゆずさんだが、投資を始めた当初は、高値掴みしてしまった銘柄がわずか30分で約20%も下落する大失敗も経験した。
短時間で60万円の損を出し、直後こそは弱気になったものの、気を取り直して「取り返してやろう」とまた投資に取り組むようになったという。
「それまで決算書も読まず、株についての勉強もしていませんでした。でも、決算書を読んでみると、ゲームが好きでゲーム業界に詳しかったこともあって内容が実によく理解できたのです。加えて、ユーザーの立場からヒットしそうな商品を予測できて、株価が動く理由がわかるようになりました」(以下「」内はゆずさんのコメント)
ガンホー株が3倍超の800万円に
そうして辿り着いたのがガンホー・オンライン・エンターテイメント(東証プライム・3765)だった。
「当時、スマホ向けゲームアプリをリリースしている会社は軒並み株価が上がっていたのですが、なかでもガンホーは前年(2012年)2月に配信を開始したスマホ向けゲームのパズル&ドラゴンズが大ヒットして急成長中でした」
この年(2013年)2月に発表された2012年12月期の通期決算では、売上は約170%増の約258億円、営業利益は約690%増の約93億円。翌年2月に発表された2013年12月期の決算では、売上は約530%増の約1630億円、営業利益は約880%増の約912億円だった。
「これはいけると思い、2012年12月期の決算書を読んだ翌日の寄り付きで買いました。当時は単位株1株で株価230万円ぐらいだったので、手元に残っていた資金の大半を投入しました」
読みは的中し、その日ストップ高となり、その後も急騰が続いた。5月には最高値の1633万円をつけ(途中株式分割が行なわれたため、1630万円は分割前の基準での価格)、一時任天堂を抜いてゲーム業界の時価総額トップに躍り出た。
「知識も経験もなかったので『無限に上がり続けるのではないか』と思い、親からお金を借りて追加投資することも考えたくらいです。ところが1633万円をピークに下がり始め、5月に発表された2013年度の第1四半期決算が2月の前期決算発表時より良くなっていたにもかかわらず株価は上がりませんでした。この時、『ああ、こういうこともあるのだな』と学び、株価が800万円くらいまで下がった7月から8月にかけて利益を確定しました」