生命保険にも相続税の非課税枠がある
財産の評価額が一定以上になると、相続税の対象となる。そんな相続税の支払いを抑えるために活用できる方法の一つが、生命保険だ。相続税対策として生命保険を活用するにはどうすればよいか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第159回は、「保険を使った相続対策」について。
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最近は不動産や株の値上がりで、自分ではそれほど意識していなくても、財産の評価額が高くなっている人が増えています。その影響で、相続税の対象になるケースも少なくありません。そんなとき、意外と知られていないのが「生命保険の死亡保険金」に適用される相続税の非課税枠です。
生命保険で受け取る死亡保険金は、相続財産ではないものの、「みなし相続財産」として相続税の対象になります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税で受け取れるという特例があります。たとえば、法定相続人が3人なら、1500万円までが非課税となります。この枠は通常の基礎控除(3000万円+600万円×相続人の数)とは別に適用されるため、相続税の節税手段として非常に有効です。
ここで重要なのが「法定相続人」の定義です。法定相続人とは、民法で定められた相続人のこと。基本的には、配偶者と子どもが優先されます。子どもがいない場合は、両親や兄弟姉妹が相続人になることもあります。一方で、孫や内縁の配偶者などは法定相続人には含まれません。保険金の受取人を誰にするかで、非課税枠が使えるかどうかが決まるため、受取人の指定には十分注意しましょう。
また、生命保険契約には「契約者(保険契約を結び保険料を支払う人)」「被保険者(保険の対象となる人)」「受取人(保険金を受け取る人)」の3者が存在し、その組み合わせによって課税の種類が変わります。相続税の対象になるのは「契約者と被保険者が同じで、受取人が法定相続人」のケース。他のパターンでは贈与税や所得税が課される可能性もあるため、契約内容の確認は必須です。