「踏み上げ相場」とは何か(「俺がカブ番長!」第9回より。イラスト/スズキサトル)
日経平均株価が史上最高値を更新するなど、株式市場も騰勢を強めている。だが、この先も同じような値動きが続くかどうかは別問題だ。相場の動きを左右する要素は多数あり、不透明な相場を読み解くことは難しい。
それでも、「相場の流れは期待するものではなく、ありとあらゆるデータを分析して読むものです」と指摘するのは、個人投資家向けレポートを提供するカブ知恵代表・藤井英敏氏だ。
2008~2009年にかけて雑誌『マネーポスト』誌上で連載された情報量満載の株コミック『俺がカブ番長!RETURNS』の監修を担当した藤井氏は、勝てる投資家になるためには「たとえ不透明に見える相場でも、その要因を読み解く努力を怠ってはならない」と説く。たとえば「踏み上げ相場」と呼ばれる株価上昇局面を例に、なぜ株価が上がるのかを解説する。
「それほど大きく値上がりする材料はないはずなのに、なぜか株価は上がっているという局面を目にすることがあると思います。企業業績が大幅に改善したわけでも、為替が大きく動いたわけでもないのに、株価だけが急に上昇している。そのような場合、信用取引がもたらした『踏み上げ相場』になっている可能性があります」(藤井氏、以下同)
「踏み上げ相場」とは何か。まず、株価が下がると見て信用取引で「空売り」していた投資家(売り方)が、思惑とは反対に株価が上昇すると、それに耐えられず、損失覚悟で買い戻すことを「踏む」という。同じように売り方が多いと、株価上昇に伴って「踏み」が売り方に連鎖して買い戻しが相次ぐ。これが原動力になってさらに株価を押し上げることを「踏み上げ相場」という。
「信用取引は委託保証金を担保に、その3倍まで『レバレッジ』(てこの原理)を効かせた取引が、買いからでも売りからでも始められます。うまく活用すれば現物株の取引よりも大きなリターンが得られる反面、リスクも大きい。特に売り方にとっては、株価が上がり続ける限り、損失は無限大に膨らむ可能性もあるので、空売りした株を上昇の過程でやむなく買い戻すしかなくなってしまうのです」
そのような「踏み上げ相場」は、ある日突然、訪れるものではない。その“予兆”はデータから読み解くことができるというのだ。