「高市トレード」に死角はないのか(時事通信フォト)
自民党総裁選で高市早苗氏が勝利すると日経平均株価は大きく上昇し、「高市トレード」(高市買い)と呼ばれたが、その後、公明党が連立離脱を発表すると週明けには日経平均が急降下……。乱高下する株式市場の行方は政局次第の様相だ。今後の行方を識者はどう見るのか。
政策が実現しなければ「失望売り」に
欧米の投資銀行でアナリストや調査部長を務めた企業・投資分析のプロでLEC会計大学院客員教授の島義夫氏(元立命館大学教授)は日本株の動向をこう分析する。
「高市トレードの株価上昇の直接の要因は、先物でした。海外の機関投資家が高市総裁誕生に合わせて日本株の先物を買った。先物に買いが入ったということは、高市総裁が政策を実行に移した際の株価上昇は一過性のものではなく、今後も持続するというマーケットの読みを示しています」
市場が注目するのは、高市氏が主導権を握ってアベノミクスと同じ金融緩和路線と積極財政を取れるかという点だという。
その第1の試金石になるのが、ガソリン暫定税率の廃止だと島氏は語る。
「海外の投資家は日本の国内政局の細かい動きは知りませんから、アベノミクスと同様の姿勢を取ったことがわかれば日本株を買う方向に動く。目先の政策ではガソリン暫定税率の撤廃が注目される。これを行なえば、ガソリン価格が下がって景気にプラスとなるから株価は上がる。軽油の暫定税率まで撤廃すれば、さらに株価上昇を後押しするでしょう。
次が減税。消費税率引き下げや給付金は実現に時間がかかるから、早いのは国民民主党が主張した年収の壁(基礎控除)の引き上げ、つまり所得税減税です。減税規模より、財務省の抵抗を押し切って減税をやったとなれば、それが評価されて株価上昇要因になる」