しかし、お金持ちだからお嬢様学校の生徒が優遇されるわけではない。お嬢様学校の多くは成績の付け方がストイックで、「主体的に学習に取り組む態度」が評定の観点に入っても、定期テストや日々の小テストの点数を重視する傾向がある。そのため、そうした女子校で評定平均値4.0以上をとる生徒は、一般選抜でも合格できるだけの学力があると判断できる。したがって、これらの学校の生徒は総合型選抜で優先的に合格していく。お嬢様学校だけでなく、私立校は公立よりも評定平均値のつけ方が厳格なケースも多い。
そのため、中堅私立高校では毎年「評定平均値3.9でMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)の総合型選抜に出願できなかった」と嘆く生徒が出てくる。たった0.1も“盛る”ことをしないからだ。
ただ、そうした「真面目に評定をつけている」私立校の中にも、「主体的に学習に取り組む態度」が観点に加わって以来、「評定が高めにつくようになっている」と話すところもある。この流れの中で、文部科学省は次期学習指導要領で「主体性」を評定の観点から外す方向を打ち出した。評定は再び学力を反映させるものになっていく。これは大学にとって朗報だ。評定平均値で学力を測るという推薦入試の前提が再び成り立つようになる。定期テストの点数を中心に評価が戻れば、評定と学力の相関が回復する。
しかし、そうはうまくいかないと指摘する声もある。
無償化で私立高校の人気が高まる理由
「主体性」が外されても、評定がとりやすい高校や、評定を“盛る”高校は今後も出てくるだろう。また、高校授業料無償化という問題がある。
東京都の高校授業料無償化は2024年度から所得制限がなくなり、私立高校も実質無償となった。その結果、都立高校の志願者が約3000人減少した。学力中堅層が私立高校の単願推薦入試を選ぶようになったからだ。
そうなると、都立中堅高校の入試難易度が激しく変化し、生徒の学力レベルも変わっていく。結果として「この高校でこの評定平均値ならこの学力」という判断が難しくなる。今後、全国で高校無償化が拡大すれば、どの自治体でも同じ状況になるだろう。
そうなってくると、真面目に評定をつける私立高校の価値は上がっていく。「大学に推薦で進学したい」と考える中学3年生は、私立高校への進学を選択するケースが増えるはずだ。大学側から「この高校の評定平均値は信頼性が高い」と評価されれば、指定校推薦の枠が増え、総合型選抜でも有利になるからである。