パチスロの適合率低迷の影響も
人気が高いパチスロの新機種は少なく、低迷するパチンコの新機種が多いのは、どういった事情からなのか。
「まず、パチンコの場合、同じ題材を扱っていても大当り確率や出玉数が異なる“スペック違い”の機種が多い。スペック違いの機種が時期をずらして販売されることもあり、それもまた“新機種”となるので、機歴につながってくるということです。また、パチスロはここ最近、型式試験に通りにくくなっているという事情もあります。パチスロはそもそも販売できる機種が少ないのです」
メーカーが開発したパチンコ・パチスロの遊技機は、国家公安委員会の指定試験機関である一般財団法人保安通信協会(保通協)、および一般社団法人GLI Japanによる型式試験を通過しないとホールに設置できない。保通協とGLI Japanが発表した2025年の1月から9月までの型式試験結果を合算すると、パチンコの結果書交付数は1043件でそのうち適合数は266件、パチスロの結果書交付数は1165件で適合数は140件となっている。パチンコの適合率は約25.5%、パチスロの適合率は約12.0%となり、パチスロがパチンコに比べて型式試験に通りにくくなっていることがわかる。
「型式試験の内容については、完全にブラックボックスになっていて、詳細な情報を知ることはできないのですが、ここ最近はパチスロの型式試験が厳しくなっているのではないかとも言われています。また、メーカーとしてもユーザーの支持を得られるように、幅広いゲーム性を模索していく中で、“型式試験をギリギリ通る”ところを攻めるのが当たり前となっているので、なかなか適合しにくいという事情もあります」
パチスロの適合率が低下している背景もあり、ホールは結果的にパチンコの新機種を“機歴”として購入することになる。
「ホールとしても、あまり稼働が見込めないパチンコの新機種を購入したくないはずです。しかし、今後登場するであろう人気機種のために、機歴を積まなければならないわけで、その結果パチンコの新機種を買うこととなる。これが、パチスロの新機種であれば、まだ多少は稼働が見込めるのでホールとしても助かりますが、そもそもパチスロの新機種が少ないので、結果的にパチンコの新機種を買うしかない。
さらに言うと、パチスロの適合率の低下している中で、ホールが求める“本命機種”が型式試験をパスできないということもあります。言わば“いつ登場するかわからない本命機種”のために機歴を積んでいる状況もあるわけです。パチスロの適合率低迷が、ホールへの負担をより大きくしているとも言えます」
もはや“慣例”となっている機歴販売だが、その課題を是正していくことも、パチンコ業界復活のために求められていくかもしれない。
関連記事【パチンコとパチスロの明暗が「パチンコ景気動向指数」で明らかに 射幸性の高い機種が揃ってもパチンコ離れ止まらず、来年登場の『スマスロ北斗の拳 転生の章2』が背負う期待】では、パチンコ業界の最新景気動向について分析している。