「新台入れ替え」をアピールするホール(イメージ)
年々店舗数が減少しているパチンコホール。その経営において、大きな課題となっているのが“パチンコの新台導入”だという。
アミューズメント業界のマーケティングリサーチを行うシーズリサーチが、10月に『第102回パチンコ景気動向指数(DI)調査報告書』を発表した。これは、パチンコ業界の景気動向の判定を目的として、同社が四半期ごとに実施しているアンケート調査で、今回の調査期間は2025年9月11日から30日。調査対象は日本遊技関連事業協会、MIRAIぱちんこ産業連盟、余暇環境整備推進協議会の3団体会員ならびに全国の有力パチンコ店経営企業53社、81 地域となっている。
同調査によれば、全体の景気動向を示す「全般的業況」DIは-3.7ポイントで、前回から9.1ポイント低下した。「稼動状況(パチンコ)」のDIは前回から7.6ポイント減の▲43.2ポイント、「稼動状況(パチスロ)」のDIを見ると、前回から7.0ポイント低下の17.3ポイントとなっている。パチンコ・パチスロに詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏は、人気の低迷ぶりについて「パチンコのほうが深刻」だという。
「パチスロは2022年以降に導入されたメダルを使わない『スマートパチスロ』(スマスロ)が人気ですが、直近は大ヒット機種がなく、落ち着いている。一方のパチンコの方はコロナ禍以降、集客が戻らないままです」(以下「」内同)
同アンケート調査では、「経営上の課題(事業者規模別)」として、小規模事業者の92.9%、中規模事業者の66.7%、大規模事業者の54.2%が「メーカーの遊技機販売の縛り」を挙げている。ホールの経営を圧迫する「メーカーの遊技機販売の縛り」とは、どういうことなのか。
「ホールがパチンコ・パチスロの新機種を導入するためには、販社(販売会社)を経由して、メーカーから購入するわけですが、どのホールも注文した数をそのまま買えるわけではありません。人気シリーズの続編などユーザーからの人気が期待される機種となれば、ホールからの需要が供給を上回り、導入できなくなるホールが出てきます。
こういった中で、人気機種を優先的に購入するために、メーカーや販社からホールに対していろいろな条件が設けられるんです。その条件の最たるものが、“機歴”と呼ばれるものです」
本命機種を購入するためには機歴を積む必要がある
“機歴”とは、「特定の機種を購入した」という“購入履歴”のことだという。
「あるメーカーから人気機種が販売されることになった場合、そのメーカーの過去の機種をより多く買っているホールが、優先的にその新機種を購入できる、ということが遊技機販売における“慣例”となっています。過去の購入履歴を“機歴”と呼び、“本命機種”を購入するには“機歴を積む”必要があるわけです。
ここで問題なのが、機歴となる機種、つまり“本命機種ではない機種”の多くが、人気を獲得できずに短命に終わることも珍しくないということです。ホールにとっては、機歴となる機種を購入したとところで来客が増えるわけでもなく、ただただ遊技機の購入費用がかさむだけになってしまう。また、せっかく機歴を積んで購入した“本命機種”でさえ、大コケしてしまうこともあります。こういった“機歴販売”が『メーカーの遊技機販売の縛り』であり、ホールの経営を圧迫しているんです」
昨今は、パチンコよりもパチスロの方が人気となっているが、新機種の登場はパチンコの方が多い傾向がある。たとえば、10月初週に全国のホールに導入された新機種を見ると、パチンコが9機種、パチスロが3機種となっている。
「全国的な設置台数はパチンコの方がパチスロよりも多く、全体的な割合から考えて、パチンコの新機種が多いのは自然なことです。しかし、パチンコ人気が低迷し設置台数が減っている一方で、パチスロの設置台数は増えています。警察庁が4月に公表した統計資料『令和6年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について』によると、2024年末でのパチンコ機の設置台数は前年から10万7727台減って196万9913台、一方のパチスロ機の設置台数は前年から8373台増加して135万5839台です。この数字を見る限りだと、もっとパチスロの新機種が増えてもいいとも言えるでしょう」

