有吉の言葉が満載の「有吉メモ」
今年も手帳の季節がやってきた。スケジュール管理だけならスマートフォンでこと足りる時代だが、近年SNSでバズったことをきっかけに注目されているのは「文庫本型日記」だ。外見は文庫本、中身は手帳。書き終えれば、書籍のように本棚に並べられるのも人気の秘密で、新潮社やちくま文庫から発売されているほか、今年は“新顔”も登場している。
「文庫本型日記」というスタイルを広く知らしめたのは、『マイブック』(新潮社)だろう。1日1ぺージ、白紙が365日続く“文庫本”は1999年に発売されて以降、根強い人気を獲得。その自由な構成はZ世代中心の“日記界隈”にも刺さり、2025年版は12万部を突破、2026年版は10月時点で早くも10万部を超えている。一方、ちくま文庫の『文庫手帳』は、1988年の初版から38年続く密かなロングセラー。こちらはカレンダーや年間・月間・週間予定表など、手帳の機能性に重きを置いた構成となっているが、日々の記録をつけ、日記として活用する人も多い。
文庫本型の日記、という市場が形成されつつあるなか、今年新顔として双葉社から登場したのがタレント・有吉弘行の言葉を綴った『有吉メモ』。その誕生の背景を、同社で編集を手掛けた市村阿理さんに聞いた。
「メモだったらできるかも」から始まった企画
『有吉メモ』は、基本的に1日1ページの日記スタイル。日付欄はあるが、自分で日付を記入するスタイルのため毎日書く必要はなく、日付欄を無視すれば単純なメモ帳としても活用できる。特徴は、まるで日替わりカレンダーのように1ページごとに有吉の言葉が記されている点だ。このアイデア発案の経緯を、市村さんはこう振り返る。
「ご紹介している有吉さんの言葉の元となっているのは、弊社の文芸総合サイトにて月に1回、有吉さんが連載している『有吉メモ』です。連載にあたっては、弊社から内容やテーマについていくつかご提案し、有吉さんの『メモという形だったらできるかも』という一言でスタートしました。その『有吉メモ』がたまってきた段階で、そろそろ一冊にまとめられないかという話が立ち上がり、同時に、“メモ”として実際にメモスペースを設け、文庫という形態にするのがいいのではないか、とご提案いただきました」(市村さん、以下同)
