慶応義塾大学ほか、人気大学の2026年入試の傾向はどうなるのか
2025年の津田塾大学の情報科学科の入学者数が定員を下回ったことが話題となった。受験や教育について取材するノンフィクションライター・杉浦由美子氏によれば、「大学の定員充足率の影響もあるのではないか。人気の大学は、定員充足率を抑えるために合格者数を絞ることも起きてくる」と指摘する(関連記事参照)。では、どのような大学が今後、合格者数を絞ると予想されるのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題の杉浦由美子氏が、定員充足率を踏まえて、2026年入試で「難化する大学」「易化する大学」について考察する。
■関連記事を読む:津田塾大・情報科学科の“定員割れ”は何を意味するのか? 補助金に影響する「定員充足率」がその年の入試難易度を左右しかねない現実
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大学が今、もっとも頭を抱えていることのひとつが「定員充足率」である。定員が充足し学生が集まっている大学は定員を大きく超過するといけないため、“調整”を余儀なくされることもあるようだ。具体的には定員の1.1倍以上が在籍していると、補助金が支給されなくなる(定員が8000人以上の私立大の場合)。また、学部ごとの定員を一定以上超過した場合は、補助金が減額、もしくは不交付となってしまう。
そのため、入学者が多かった翌年は合格者を絞り込んで人数の調整をしようと考える大学もあるのではないか。前回の記事で紹介したのは津田塾大学の情報科学科のケースだ。2025年は定員45人に対して、入学者が41人。「女子大の危機」が大きく報じられる中の発表だったので、「ついに津田塾も定員割れか」とSNSで投稿する人もいたが、実際には過去2年続けて多く取り過ぎたから(2024年の入学者数は51人、2023年は63人)調整のために合格者数を減らしたと推測できる。
これは他の大学でも起こりうる。
「大規模大学を中心に2025年入試は全体的に入学辞退者が少なかったため、どの大学も入学者が多い傾向がありました」(代々木ゼミナール・教育情報センター教育情報室の木戸葵氏)
一般選抜では辞退者が出ることを見越して多めに合格者を出す。ところが辞退者が想定よりも少なかった大学も多かったようだ。
私立大学の6割が定員割れしており、大学入試のハードルが下がっていると言われるが、一定以上の難易度や人気のある大学は「入学者の調整に悩んでいる」状態なのではないか。近年、受験生の人気が高まっている東洋大学も、2025年度はかなり人数を絞り込むと予想されたが、蓋を開ければ充足率107.6%と、定員の1.1倍には届いてはいないものの、高めの水準だ。
人気のある大学に関していえば、2025年度入試は「予想以上に入学者が多かった」ため、2026年度入試で各大学で合格者を絞りこんでくる可能性も十分考えられる。
ここからは、特に絞り込みが予想される「要注意」の大学と、定員充足率に余裕があり比較的狙い目と思われる大学を、具体的に考察してみよう。
