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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】Chordia Research Memo(7):2025年8月期は事業収益の計上がなく、前期並みの損失を計上

*12:07JST Chordia Research Memo(7):2025年8月期は事業収益の計上がなく、前期並みの損失を計上
■Chordia Therapeutics<190A>の業績動向

1. 2025年8月期の業績概要
2025年8月期の業績は事業収益の計上がなく、営業損失で1,789百万円(前期は1,801百万円の損失)、経常損失で1,769百万円(同1,824百万円の損失)、当期純損失で1,785百万円(同1,827百万円の損失)となった。

事業費用の増減要因について見ると、研究開発費は1,425百万円と前期比で74百万円減少した。内訳は、rogocekibが米国での第1/2相臨床試験の進捗に伴い同52百万円増の1,070百万円となった一方で、それ以外のパイプラインはコスト抑制に努めたことで、CTX-439が同105百万円減の27百万円、その他開発費(人件費含む)が同16百万円減の331百万円となった。その他一般管理費は特許関連のコスト増加を主因として同62百万円増の364百万円となった。営業外収支は前期比43百万円改善した。前期に計上した株式上場関連費用28百万円や株式交付費用8百万円がなくなったほか、AMEDからの助成金収入が同5百万円増加したことによる。また、期初会社計画比でみると損失額が縮小したが、主にはrogocekibを中心とした研究開発費用が計画を下回ったことによる。

2026年8月期はrogocekibの開発費用増加により、損失が若干拡大する見通し

2. 2026年8月期の業績見通し
2026年8月期も事業収益の計上予定はなく、営業損失で2,008百万円(前期は1,789百万円の損失)、経常損失で1,958百万円(同1,769百万円の損失)、当期純損失で1,960百万円(同1,785百万円の損失)と損失がやや拡大する見通しだ。

研究開発費は前期比164百万円増の1,590百万円を計画している。内訳は、rogocekibが米国での臨床試験被験者数の増加により同61百万円増の1,131百万円となるほか、CTX-177で導出活動再開により17百万円を計上する。また、その他開発費も同89百万円増の420百万円を見込んでいる。一方、CTX-439はAMEDからの助成金を受けた活動のみを想定し同5百万円減の22百万円を計画している。その他一般管理費は、登録/免許関連や保険費用等を中心に同53百万円増の418百万円となる見通しだ。なお2027年8月期の研究開発費の水準については、rogocekibの臨床試験が加速することで1.5~2倍程度に増加する可能性があると弊社では見ている。

rogocekibの開発資金調達を目的に、第三者割当による新株予約権を発行

3. 財務状況
2025年8月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,951百万円減少の2,681百万円となった。主に研究開発費の支出により現金及び預金が同1,780百万円減少したほか、前払金や前払費用も減少した。

負債合計は前期末比226百万円減少の244百万円となった。主に未払金が262百万円減少したことによる。また、純資産合計は同1,724百万円減少の2,437百万円となった。当期純損失の計上により利益剰余金が1,785百万円減少した。

2025年8月期末の現金及び預金が2,548百万円と同社が目安とする事業活動資金1年分に近づいてきたことから、同社は2025年9月に第三者割当てによる新株予約権(第9~11回、1,720万株相当、希薄化率約25%)を発行した。このうち、第9回(1,032万株相当)に関しては行使価額修正条項が付されており、下限行使価額として105円(当初行使価額175円)が設定されている。一方、第10回(344万株相当)は175円、第11回は210円でそれぞれ行使価額が固定されたものとなっている。すべて行使された場合、調達資金額は24.1~34.4億円(下限行使価額~当初行使価額)となる。資金使途としては、2027年8月期までに実施されるrogocekibの拡大コホート及び薬物相互作用の検討にかかる試験費用に充当する予定となっている。なお、rogocekibについては2028年8月期も臨床試験が続くため、それまでに再度、エクイティファイナンスを実施する可能性もあるが、米国でのライセンス契約交渉次第となる。

rogocekibの価値最大化に向けリソースを集中投下し、早期収益化を目指す

4. 今後の事業方針
同社は「『日本発』『世界初』のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに。」をスローガンに、2030年ビジョンとして掲げた「日本発の研究開発型の製薬会社になる」ことを目指している。国内についてはアライアンス戦略により自社による製造販売を展開し、海外市場ではグローバル製薬企業とライセンス契約を締結することで効率的に事業を拡大していく戦略だ。

開発戦略としては、当面は早期収益化の実現を目標に、rogocekibの開発に経営リソースを集中し、まずは再発・難治性AMLの米国及び日本での販売承認を得ることを最優先に取り組み、その後はAMLの一次治療やその他のがん種への適応拡大を進めることでrogocekibの製品価値最大化を目指す。既述のとおり潜在市場規模は大きく、ブロックバスターとして育つポテンシャルを持つことから、2026年中頃に発表が見込まれる第1相パートの中間成績結果の内容が注目される。良好な結果が得られれば、海外でのライセンス契約締結の可能性が一気に高まると弊社では見ている。その後の第2相パートの組み入れが順調に進み、主要評価項目となっているCR率で既承認薬と遜色ない結果※が得られれば、2028年後半に承認申請を目指すものと予想される。

※ AML治療薬として米国で2024年に販売承認されたSyndax PharmaceuticalsのRevumenibはPivotal P2試験でCR率18%だった。このため、CR率が20%前後の水準であれば承認される可能性が高いと同社では見ている(日本で実施されたP1試験ではCR率29%だった)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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