米半導体大手エヌビディアは好決算にも関わらず株価は高値更新とはならなかった(写真:EPA=時事)
米国株に警戒感が高まっている。10月末まではS&P500、ナスダックともに高値を更新し、年末ラリーへの期待が高まっていた。しかし、11月に入ると流れは急変し、指数は一度も高値を更新できず、日本株も連動するように失速した。日米株式市場が勢いを失った背景はなにか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがその要因を解説する。
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10月末までの米国株はS&P500、ナスダックともに高値を更新し、年末ラリーへの期待が一気に高まっていました。しかし、11月に入ると流れは急変します。指数は一度も高値を更新できず、日本株も連動するかのように失速しました。勢いを失った背景には、主な3つの理由があると思っています。以下、説明していきます。
【1】AIラリーへの警戒感
今年の株式市場は、生成AI関連のラリーが相場を強く押し上げてきました。半導体、データセンター関連など、テクノロジーセクターが牽引役となり、10月末の高値形成に大きく貢献しました。
しかし、11月に入ると雲行きが変わります。
ひとつのきっかけとなったのが、オラクルの決算発表後の失速です。
オラクルの日足チャート(TradingViewより)
9月9日に発表されたオラクルの決算は、大幅な受注増が明らかになり、発表翌日は一時43%を超える上昇となりました。しかしその後の株価は伸び悩み、10月29日には同社の信用リスクが高まっていると報道され、下げが加速。
この値動きが市場のセンチメントを変えるきっかけになりました。また、その後のパランティアやエヌビディアのように、好決算なのに株価が下落するケースも目立ちます。
パランティアの日足チャート。決算発表直前に高値を更新したがその後は下落が続く(TradingViewより)
AI関連の決算が良好だったにもかかわらず株価が上がらないという事実は、投資家心理にとって強いシグナルとなり、過熱感の意識につながっているのではないでしょうか。


