日米でレアアースの供給確保に向けた協力体制も(トランプ米大統領=左と高市早苗・首相。時事通信フォト)
高市早苗・首相の「存立危機事態」発言を批判する中国は「日本への渡航自粛」や「日本産水産物の輸入停止」など“報復”をエスカレートさせている。最大の貿易相手国である中国からの圧力にどう向き合うべきか。高市政権は「脱・中国依存」を進められるのか。そこに残された大きな課題とは。
インバウンド需要を安定的に伸ばしていくために好都合
日本経済は中国依存から脱することができるのか。実は、中国から撤退、事業縮小する日本企業は近年大きく増えている。
製造業では今年7月に三菱自動車が中国でのエンジン生産を終了して完全撤退、ホンダも広東省の工場を閉鎖した。
中国進出の先駆者だった百貨店など小売り業界でも、伊勢丹が上海などの店舗を閉店した。
各社に理由を聞くと、三菱自動車は「中国の自動車産業と市場が急速に変化し、電動車への移行が想定以上に加速したから」(広報部)、ホンダは「四輪事業基盤の強化を行う為」(広報部)、伊勢丹は「賃貸借契約終了に伴うもの」(広報・IR部)と回答した。
帝国データバンクの調査では、中国に進出している日本企業の数はピーク時の2012年の1万4394社から2024年は1万3034社へと1000社以上も減っている。
脱中国で生き残るにしても、あるいは、チャイナリスクを減らして中国市場でも稼ぐという「二兎」を追うにしても、日本企業は独自に対策を進めている。
脱・中国を進めた場合のインバウンドへの影響も、「たとえ中国人観光客がゼロになったとしても訪日客はまだ3000万人いるし、むしろオーバーツーリズムを回避し、体制を整える時間を稼げる。これからインバウンド需要を安定的に伸ばしていくためには好都合と捉えるべきでしょう」(『経済界』編集局長の関慎夫氏)との指摘もある。
