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快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「一充電走行距離295km」のカタログ値は本物か?ホンダ「N-ONE e:」東京→伊東のロングドライブで検証 軽BEV特有の「航続距離の短さ」は解消されたのか 補助金利用で価格面でも手軽に

BEVとしての補助金利用で魅力的な購入対象になる

 途中のサービスエリアで小休止。駐車スペースに佇む「N-ONE e:」のコロッとしたスタイル、そしてフロントマスクが実に愛らしくて、愛着が湧く。ガソリンモデルの「N-ONE」をベースにしてはいますが、表情は少し違います。まず丸型2灯式のヘッドライトですが、上部はまっすぐにカットされていて完全な丸型ではありません。ちょっぴり睨みをきかせた雰囲気ですが、それも実にキュートに見えます。

 そのフロントマスクには、廃棄されたホンダ車のバンパーのリサイクル素材を使って制作した樹脂のグリルが与えられ、「普通」と「急速」の給電口も装備されている。ガソリンモデルとはサイズも基本的なフォルムも同じだが、リアの造形は少し違う。空力を意識したリアガラスとテールゲートは緩やかな曲面を活かしたことで、少しふくよかに見える。これも「N-ONE e:」独自の形ですが、ちょっと見だけでは区別は難しいかもしれません。

 そしてそのフォルムに包まれた居住空間ですがガソリン仕様と同じく快適です。背の高いハイト系ワゴンのような広々感はありませんが、それでも使い勝手や快適性は十分に確保され、圧迫感や窮屈感はありません。これも「N-VAN e:」同様に、ホンダ特有の「センタータンクレイアウト」によって実現できた利点です。エンジン車ではガソリンタンクのあったスペースに、薄型駆動用バッテリーやIPUなどを無理なく移植できたため、実用性の高さにほとんど影響を与えずに済んだのです。BEV化しても、これまで確保していた荷室の奥行き、左右幅、荷室高などはほぼ変わらず、シートの座り心地も良好です。

 メーターパネル内の各表示は充電量100%、航続可能距離は228kmを示しています。これはアクセルやエアコン等の効き具合を制御して消費電力を低減する「ECON」モードに切り替えた状態の数字。当日は外気温17度と、この時期にしては比較的に暖かい状態だったので228kmという航続可能距離が出たと思いますが、「これならば無充電で伊東に到着できる」と楽観する気持ちが生まれました。

 都内の雑踏を抜け、首都高から東名へと走り込みます。低重心の安定感ある走りと、想像以上にしなやかなサスペンションの走りを味わいながらクルージングが続きます。もちろん先進の安全運転支援システム「ホンダセンシング」やさまざまな安全機能が運転をサポート。モーターによる静粛性の高さと、そして滑らかでトルク感のある走りは安心感を伴いながら、高速の流れにもしっかりと乗ることができました。

 小田原からは左手に相模湾を見ながら国道135号線のドライブです。市街地や郊外路で感じたのは最小回転半径4.5mという小回りの良さ。さらに回生ブレーキを強め、アクセルペダルだけで速度をコントロールできる「シングルペダルコントロール」に切り替えると、とても運転が楽になります。つまり“ワンペダル操作”が可能で、アクセルペダルを踏むと前進、緩めると減速・停止まで対応します。

 こうして快適なドライブを楽しんで約3時間。伊東市手前の充電ポイントの道の駅まで155km走って平均電費は10.8km/kWhと良好。バッテリー残量は52%で、この先はまだ133km走行できるとなっていて、結果としては満充電からカタログ値に近い288kmの航続可能距離を実現できることになります。これで軽BEVの航続距離の短さという問題もかなり解消できます。

 そして残る問題の269万9400円~という価格。こちらは国のCEV補助金57.4万円(令和7年度)と、地方自治体による補助金(東京都の場合、ZEV補助金は40万円~)などが付くなど、かなりの優遇が受けられます。これぐらいの負担であれば軽BEVという選択も十分にありだと思います。

水平基調でスッキリとしたデザインのインストルメントパネル。「N-ONE e:」専用のデザインとなっている

水平基調でスッキリとしたデザインのインストルメントパネル。「N-ONE e:」専用のデザインとなっている

シート素材は手触りのいいファブリック。体のホールド感はよく、座り直しが少ない快適なフロントシート

シート素材は手触りのいいファブリック。体のホールド感はよく、座り直しが少ない快適なフロントシート

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