60才を超えたら生命保険をどう見直すか(イメージ)
結婚、出産、マイホーム購入など人生のステージが変化するたびに必要な保険は異なる。働き盛りで病気になってしまっても、生活に困らないような医療保険や、万が一のことがあっても家族が路頭に迷わないよう「死亡保険」に加入していた人は多いだろう。だが、60才を超えるとそうした保険を一つひとつ手放している人は多い。
都内に住む女性Aさん(61才)さんが言う。
「固定費の見直しをするなかで、もう保険はいらないという記事を読みましたが、女性の方が寿命は長いし、もし夫に先立たれたらどうしようと不安です。かといって、家計の負担になるような保険料を支払われても困る。夫と話し合いたいのですが、なにをどうすればいいかわかりません」
認知症や介護など、新たな老後リスクの壁が立ちはだかる60代以降、結婚している女性たちが安心した老後を送るためには、夫にどんな保険に入ってもらい、なにをやめてもらえばいいのか。【老後の保険の見直し術・前後編の前編】
死亡保険はサイズダウン
日本は国民皆保険が充実しているものの、生命保険文化センターの調査によれば、民間保険に加入している人は約8割。加入者の男女比はやや女性の方が多いが、受取人となると女性の方がはるかに多いのではと推計するのは社会保険労務士の井戸美枝さんだ。
「数字が公開されているデータは、医療保険などあらゆる保険商品を対象にしています。死亡保険に絞ると、年代にもよりますが加入者は男性が多く、受取人は妻。保険の解約となると、真っ先に死亡保険が対象に挙がりますが、そもそも支払いの満期を終えているかたが多いはず。もしまだ払っているならまずはその保障内容を見直しましょう」
特に井戸さんが注目すべきというのは、それが「変額保険」であるかどうか。
「死亡保障と貯蓄、資産形成を両立できる保険で、保険料の一部を株式や債券、投資信託で運用し、受け取れる保険金を“増やす”というものです。
ただしこれは保険会社に払うコストも小さくないので、もし加入して間もない変額保険があれば解約していい」(井戸さん)
