米国のベネズエラ攻撃を中国の株式市場はどう受け止めているのか(1月14日。Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。米国のベネズエラ攻撃の中国株式市場への影響についてレポートする。
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トランプ大統領は1月3日、ベネズエラに大規模な攻撃を実施、マドゥロ大統領夫妻を拘束したと発表、6日には、最大20億ドル相当のベネズエラ産原油を米国に輸出することでベネズエラと合意したと発表した。親中、反米左派政権が転覆された上に、中国向けに輸出されていた石油資源を米国向けに振り向けると公言したことに、中国政府は強く反発している。
一方、株式市場は全く反応していない。上海総合指数は12月16日を底値に強い上昇トレンドが発生している。年が明けるとむしろ上昇が加速、1月13日の終値は年末と比べ、4.3%高い水準にある。ハンセン指数も同様だ。事件発生後の5日、6日と続伸、短い押し目を経て切り返しており、13日の終値は年末と比べ4.8%高い水準にある。中国本土投資家、グローバル投資家ともにこの件によるファンダメンタルズへの影響はほぼ無視できるとみているようだ。
なぜ株式市場がこの件に関心を示さないのだろうか。まず、中国とベネズエラとの貿易関係であるが、2025年1~11月時点で輸出比率(人民元ベース)は0.14%、輸入比率に至っては0.04%に過ぎない。輸入品目における石油(貿易統計品目の27章.鉱物燃料、鉱物油など)のウエイトは大きく17.2%あるが、ベネズエラからの輸入がすべて原油であったとしても全石油輸入金額の0.26%に過ぎない。
米国はここ20年間、ベネズエラに対する制裁を続けており、トランプ政権1期目の2019年には米国向け原油輸出を事実上停止、2025年3月に入ってからは、封鎖を強化している。2025年11月時点での1日当たり生産量は約93万4000バレル、輸出量は約65万3000バレルに過ぎず、グローバルの生産量に対して1%弱と推計される。12月の生産量は54万バレル、輸出量は前月比で3割減ったようだ。
制裁逃れの隠れ輸入があったとしても、生産量から判断すれば、大した金額にはならない。WTI原油先物価格の推移をみると、2022年前半にピークアウトしており、その後は多少の上げ下げはあるがトレンドとしては下向きだ。そもそも、EV化が急激に進む中国において原油の需要は弱含みである。
