*12:06JST ヤマタネ Research Memo(6):計画初年度は、各事業カンパニーの事業戦略に基づく重点施策を推進
■中期経営計画の進捗状況
ヤマタネ<9305>は現在、2026年3月期から2028年3月期までの3年間を計画期間とする中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」を推進している。2026年3月期はその初年度として、各事業カンパニーで定めた事業戦略に基づく重点施策を展開している。
(1) 物流カンパニー
物流カンパニーは、既存事業領域の収益力強化の一環としてアーカイブ事業の拡大を進めている。具体的には、阪急阪神エステート・サービスが運営していた文書のアーカイブ事業を譲り受けたヤマタネドキュメントマネジメントを子会社化するとともに、同じく子会社化したキョクトウの電子化事業と連携している。
物流カンパニーのアーカイブ事業は関東を中心に展開しているため、関西に拠点を置く両社とのエリア補完性が高い。この補完性を生かし、関西エリアを強化しビジネスを拡大する方針である。2026年3月期はその基盤整備として、双方のシステム融合、クロスセル、人材等のリソースの融通を進めている。これにより、商圏拡大などのシナジーを獲得し、成長市場であるキョクトウの電子化事業が強化されることで、文書の集配から電子化・システム管理・保管・溶解(廃棄)処理までの文書コンサルティングに関する一気通貫のサービス提供体制の確立を目指している。
(2) 食品カンパニー
食品カンパニーでは、コメ卸売事業の収益性改善策として、仕入コストの販売価格への適切な転嫁、印西精米センターの品質・生産性向上策を進めている。
新規顧客開拓施策(川下戦略)としては、ショクカイの成長戦略を推進しており、前述のT.M.Lとの協業もその一環である。生産への進出(川上戦略)の一環として、2025年7月にはBASFジャパン(株)及び(株)NEWGREENとの間で、戦略的提携の協議を開始した。日本の水稲栽培における脱炭素・低環境負荷につながる新しい栽培法の支援と、その生産物の流通及び付加価値創出を目指すものだ。今後3社間でデジタルソリューション、カーボン認証プログラム、流通インフラ連携を検討し、持続可能なコメ生産を支援するエコシステムの実現に向けた事業連携を進める方針である。
(3) 情報カンパニー
情報カンパニーでは事業拡大策として地方拠点への進出を進めている。
(4) 不動産カンパニー
不動産カンパニーの越中島開発プロジェクトは計画どおりに進行している。2025年5月にグランドビジョンを公表し、2025年に1回目を開催したまちづくり準備協議会では、地域や行政との協議を進めていく。加えて、事業パートナーの選定にも着手する予定である。
■株主還元
2026年3月期の年間配当は10.0円増の1株当たり72.5円を予想
1. 配当
同社は、中長期的な視点に立った事業収益の拡大と財務体質の強化を図りながら、株主への安定配当の継続を基本方針としている。中期経営計画「ヤマタネ2028プラン」ではDOE(株主資本配当率)に関して、2025年3月期実績の2.0%から2028年3月期には3.0%にまで株主還元の充実を図る計画であり、1株当たり配当金を継続的に増額する。
2026年3月期中間期の1株当たり配当金は35.0円となった。2025年8月の修正中間配当金予想25.0円からさらに10.0円増配である。これにより、2026年3月期の年間配当は1株当たり72.5円(中間:35.0円、期末:37.5円)となる見込みである。
2. 株主優待
同社は、存続の危機に直面している棚田の保全活動への貢献を目的として、株主優待制度を導入している。
9月末基準では、1,000株以上保有している株主に対し、新潟県で収穫された棚田米10kgを贈呈する。これに加え、申込制(申し込み多数の場合には抽選)により田植え、稲刈り体験を提供している。また、山種美術館のカレンダーも贈呈されるほか、株数に応じて厳選こだわり米または棚田米が選択可能である。
3月末基準では、株数に応じて優待品が提供される。ジュース(2〜3本)、または棚田米を原料とした日本酒(2合、4合もしくは8合)のいずれか1つを選択できる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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