質問は、相手が「聞く気になっている」サイン
そもそも、聞き手は興味のない話には質問すらしません。質問が飛んでくるということは、少なくとも相手があなたの話に耳を傾け、内容を理解しようと頭を働かせている証拠です。
相手からの質問は、「私は今、ここにいますよ」と、相手自身の理解度や関心事を教えてくれる、親切なGPSのようなものです。
例えば、「費用対効果の具体的なデータはありますか?」という質問は、「私が最も重視しているのは、コストです」という本音の現れです。
このGPS情報を受け取れば、費用対効果のデータを重点的に説明するなど、あなたは即座に軌道修正ができます。相手の質問こそが、あなたの説明を「ひとりよがりな演説」から「相手に寄り添う対話」へと進化させてくれるのです。
私が予備校講師だった頃、最も手応えを感じるのは、生徒から質問が殺到した授業でした。50分間、私が一方的に話し続ける授業よりも、生徒からの「なぜ?」「どうして?」という質問に答えている時間のほうが、生徒の目の輝きは明らかに違いました。
なぜなら、その瞬間、授業は私から生徒への「一方的な知識の伝達」から、私と生徒の「共同作業」へと変わるからです。生徒は、質問という形で授業に主体的に参加し、自分自身の問いに対する答えを得ることで、「潔い納得感」を手に入れるのです。
「対話」という共同作業を重ねることでしか、聞き手の頭の中に深い「理解」を築くことはできないのです。
どうか、質問を恐れないでください。むしろ、質問が来ないことを恐れてください。
あなたの説明を、一方的な「演説」から、創造的な「対話」へと変える。その意識こそが、あなたを真の説明上手へと導く、確かな道筋なのです。
※犬塚壮志・著『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)より一部抜粋して再構成
『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』著者の犬塚壮志氏
【プロフィール】
犬塚壮志(いぬつか・まさし)/教育コンテンツ・プロデューサー・株式会社士教育代表取締役。福岡県久留米市出身。東京大学大学院学際情報学府修了。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25才で合格。駿台時代に開発したオリジナル講座は3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。2017年、駿台を退職し、予備校講師時代の経験を生かしたプレゼンテーション指導や、企業研修・人材育成プログラム・講座の開発、教材作成サポート、講師養成を請け負うサービスを開始。大企業から中小企業まで登壇オファーが殺到。受講アンケートでは満足度95%超。主な著書に、累計5万部を突破した『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、電子含め含め5万部を突破した『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)などがある。
