経産省が公表した最新推計は今後の外国人受け入れ政策にも大きな影響を与えかねない
「1000万人以上働き手が不足する」「外国人労働者を大規模に受け入れなければ社会が回らなくなる」……日本の人口減少がますます深刻になる中で、しばしばそんな分析がなされてきた。しかし、経済産業省がこのほど公表した最新推計をもとにすれば、仮に就業者数がかなり減ったとしても、外国人労働者の受け入れ拡大に踏み切る必要はないかもしれないという。どういうことか? 人口減少問題に詳しい作家・ジャーナリストの河合雅司氏が検証する。【前後編の前編】
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1月26日に経済産業省が公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」の衝撃的な内容が波紋を広げている。
大方の予想を裏切り、「大きな人手不足は生じない」と結論づけただけでなく、「事務職」に437万人の余剰が生じるなどと具体的な数字を挙げて分析したためだ。仕事を奪われそうな人にしてみれば死活問題となる。これから就職する学生・生徒を含め、心中穏やかではないだろう。
その衝撃の内容とはどのようなものなのか。推計の詳細を見ていこう。
総務省の労働力調査によれば、労働力人口(15歳以上の働く意思がある人の数)は2025年平均で過去最多の7004万人となったが、経産省の推計は人口減少によって2040年の就業者数は6303万人になるとしている。
700万人ほど減るということだが、推計はそれでも大きな人手不足とはならないというのだ。根拠は、国内投資の拡大や産業構造の転換、AIやロボットの利活用およびリスキリングによる省人化である。
過去30年にわたり続いたコストカット型の縮み思考を脱却し、2040年には賃上げと投資が牽引する成長型経済に転換していることを前提としているのだ。
AIやロボットの利活用およびリスキリングなどによる労働需要の効率化の効果については、約200万人分の省力化が進むと織り込んでいる。人口の激減が始まるタイミングで、偶然にもAI技術が急発展したことが、日本にとっては幸運だったということである。
人口減少の局面では人手不足が深刻化することを懸念する見方が少なくないが、これを真っ向から否定する見解である。
