文部科学省の有識者会議の提言書から読み取れる「生き残る大学」の条件とは
文部科学省は、少子化が進む中でも「大学で学びたい人は増えている」として大学数や収容定員数を増やし続けてきた。実際、進学率の上昇により大学入学者数は増えていたが、いよいよ今年以降、進学者が減り続ける見込みだという。“大学淘汰元年”を迎えた今、「生き残る大学」をどう選別し、どのような人材育成に取り組むべきなのか? 人口急減する日本の近未来を分析した話題書『縮んで勝つ』の著者・河合雅司氏が解説する。【前後編の後編。前編記事から読む】
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昨年12月、文科省の有識者会議「2040 年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」が提示した提言書がまず打ち出したのは、一律に近い配分となっていた私学助成の在り方の見直しだ。
(1)地方において、地域ニーズに応え、地域経済の担い手となる人材の輩出
(2)教師、保育士、看護師等のエッセンシャルワーカーの養成
(3)国際競争力の強化に資する研究環境の充実
(4)日本の産業を支える理工農系分野における人材の育成
(5)大学の教育研究の質の向上に向けた取組
の5項目を重点化すべきとし、「経営危機に瀕した私立大学等の延命のためだけに用いられることはあってはならず、教育研究の成果を持続的に社会に還元できる大学等に適切に配分されるようにすることが不可欠」とくぎを刺している。
さらに、「今後の私立大学振興の基本的な考え方」と題した政策転換の必要性も示した。その柱は、次の4点である。
(1)地域から必要とされる人材育成を担う地方大学の重点支援
(2)日本の競争力を高める教育研究を担う大学の重点支援
(3)再編・統合等による規模の適正化に向けた私立大学の経営改革強化
(4)教育研究の質の向上に向けた重点支援
もちろん「私立大学の振興」とは名目に過ぎない。多くの私立大学にとっては、大学を畳むためのガイドライン、あるいは“エンディングノート”となっているのが実態だ。文科省としては「生き残る大学」と「生き残れない大学」とをアメとムチを使って選別し、社会の変化に対応できない大学の退場を促そうということなのだろう。
透けて見える文科省の思惑について、提言書に盛り込まれた主なキーワードを基に裏読みしてみよう。
