ナスダック26週線割れの意味
一方で、ナスダック指数は26週移動平均線を明確に割り込みました。26週移動平均線は中期トレンドを測る重要なテクニカル指標であり、これを割り込むということは「上昇トレンドの勢いが弱まっている」だけでなく、トレンド転換の可能性すら示唆します。
特に懸念されているのが、SaaS(インターネット経由で利用する業務用ソフトウェア)を中心としたソフトウェア関連銘柄の下落です。米新興企業のアンソロピックが発表した新技術をはじめとしたAIサービスが、ソフトウェア企業のサービスを代替するのではないか、との言説も広まり、「SaaSの死」とも呼ばれています。これまでは成長期待で高いPER(株価収益率)が許容されてきましたが、業績鈍化やガイダンスの慎重姿勢が相次ぐと、一気にバリュエーションの調整が進む可能性があります。
また、26週移動平均線は、これまでテクニカル的なサポートとしても機能してきました。しかし割り込んでしまったことで今後はレジスタンスライン(抵抗線)に変わる可能性があります。その水準はテクニカル的に戻り売りが出やすい局面であり、短期的な反発があっても、明確な高値更新までは油断はできない状態に変化しました。
ナスダック週足チャート。表示は13週移動平均線と26週移動平均線(TradingViewより)
ナスダック100のPERはどこまで下がるのか
主要ハイテク株の高い成長期待が低下した場合、ナスダック100の予想PER水準(約25倍)が変わる可能性があります。仮にS&P500の予想PER水準程度(約22倍)まで低下すると仮定した場合、株価は同程度(10%超)の調整を強いられる計算になります。現在の株価は「高い成長率が続く」という前提で成り立っています。その前提が揺らくようなら、評価(PER)の低下=株価下落につながります。
もちろん、すぐに暴落するという話ではありません。しかし、業績懸念によるバリュエーション調整、そこにテクニカルの弱気サインが同時に重なるとき、相場は想定以上に下振れしやすくなります。別のテクニカル指標でも弱気サインが重なれば、警戒水準を一段と引き上げる必要があるでしょう。
足元では、内部要因で日本株が強い構図が続いていますが、最も重要な外部要因である米国株、中でもナスダックの動きは無視できません。26週移動平均線割れはトレンド転換の初期サインである可能性があります。
今後は、業績動向とPERの水準、そしてテクニカルの回復可否を冷静に見極める局面です。楽観と悲観のサインやシグナルを整理しながら、シグナルが重なったときに機動的に動ける準備をしておきたいところです。
相場は常に先回りします。だからこそ、今の状況と変化を丁寧に読み解くことが重要です。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。
