*10:58JST 飯田GHD:国内戸建分譲のリーディングカンパニー、ストック型事業・海外事業を拡大へ
飯田グループホールディングス<3291>は、2013年11月に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの上場企業6社が経営統合して誕生した共同持株会社である。同社グループは「誰もがあたり前に家を持てる社会」の実現を掲げ、分譲戸建住宅市場において国内シェア約30%を誇る圧倒的なリーディングカンパニーとしての地位を確立している。主力の戸建分譲事業に加え、分譲マンション、注文住宅、メンテナンス・リフォーム、建築資材製造、さらには金融や保険、海外事業まで、住まいに関わる多角的なビジネスを全国47都道府県の広範なネットワークを通じて展開している。ビジネスモデルの根幹は、用地の仕入から造成、設計、施工、販売、アフターサービスまでを自社で完結させる一貫体制にあり、これにより徹底した規格化と標準化、そして年間約4万棟の供給実績を背景としたスケールメリットを最大限に活かし、高品質かつ好価格な住宅の提供を実現している。
同社の強みは、第一に、圧倒的なスケールメリットを源泉とした資材調達力とコスト競争力である。グループ内に内装建材や住設機器、さらには森林資源管理や木材加工までを担うメーカー機能を自社グループ内に保有しており、市場の需給変動に左右されにくい安定的な資材確保と、徹底したコスト低減を可能にしている。第二に、グループ6社が互いに切磋琢磨する「競争と協調」のユニークな企業文化が挙げられる。同じグループ内でありながら、各社が独自のブランドや商品特性を持ち、ターゲットや地域によって棲み分けを図りながら競い合うことで、多様化する顧客ニーズに対する広範なカバレッジと、グループ全体の成長適応力を高めている。第三に、累計80万棟を超える豊富な販売実績に基づく強固な顧客基盤と、そこから派生するストック型ビジネスの潜在力である。この膨大なオーナー顧客との接点を活用し、築年数に応じたメンテナンスやリフォーム、住み替え需要を効率的に取り込むことで、市況の変動に左右されにくい安定した収益基盤の構築を加速させている。
直近の業績について、2026年3月期の第3四半期は売上収益1,056,683百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益65,435百万円(同9.1%増)の増収増益で着地した。主力の戸建分譲事業において、建築コストの高騰や地価上昇により販売価格が高止まりするなか、エリア戦略の精緻化や機動的な土地仕入を徹底したことで、売上総利益率は16.2%(同2.1%増)へ上昇した。営業利益の増加は、利益重視の戦略に加え、棚卸資産の効率的な回転と付加価値の高いZEH水準住宅の普及が寄与している。通期の見通しについても、売上収益1,530,000百万円(前期比4.8%増)、営業利益93,000百万円(同15.6%増)と大幅な増益を計画している。住宅ローン金利や実質賃金の動向など先行きを見通しにくい要因があるものの、分譲戸建住宅の需給バランスが大きく悪化することは考えにくく、比較的良好な事業環境が継続することが見込まれている。
今後の成長見通しについては、2030年3月期をターゲットとする中長期ビジョンの達成に向けた「コア事業の競争力強化」と「事業ポートフォリオの拡大」が牽引する。2030年3月期に向けては、M&Aに依存しない既存事業のみでの売上高成長率は年率4.0%に定めた一方で、戸建分譲事業の売上収益の割合を2025年3月期売上構成比82.8%から2030年3月期売上高構成比70%まで引き下げる想定となっている。既存の戸建分譲事業では、さらなるコスト競争力の追求とともに、マーケットイン型のハイブリッドな商品開発によりシェアを拡大する。一方、成長ドライバーとして期待されるのがストック型事業であるメンテナンス・リフォーム事業の拡大であり、オーナー顧客向けのCRM戦略を強化することで安定収益の積み上げを図る。また、海外事業を第3の成長エンジンと位置付け、インドネシアや米国など、経済成長や中間層の拡大が見込まれる市場において、日本で培った分譲ビジネスモデルの横展開を加速させており、将来的な非連続な成長が期待できる。さらに、人工光合成技術を活用した未来型住宅の研究開発など、次世代の環境技術への投資を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立を目指している。
3月10日には、米国 Wright Homes グループの持分取得(子会社化)を発表している。WH グループは、米国西部に位置するユタ州のユタ湖北部を中心に戸建住宅の開発・建設・販売を行う住宅ビルダー。土地取得力を競争力の源泉としており、主に一次取得者及び 55 歳以上のシニア層を対象とした住宅を供給している。2025 年 12 月期のグループ実績は売上高 71 百万ドル(約110 億円)、営業利益 18 百万ドル(約 28 億円)の住宅ビルダーグループで、飯田グループホールディングスは住宅ビルダー事業の強化に資する周辺事業への拡大も視野に入れ、WHグループの事業基盤及びネットワークを活かし、他エリアへの事業拡大の足掛かりとしてしていくようだ。
株主還元については、安定的な利益配分を経営上の重要政策と位置付け、1株当たり90円以上の累進配当を基本方針としている。2026年3月期には大阪・関西万博への出展を記念した記念配当10円を加え、年間100円の配当を予想しており、株主還元への積極的な姿勢が鮮明となっている。また、内部留保については将来の成長投資に加え、不測の経済環境変化に備えた「安全資金」として活用し、長期的な経営の安定化を図りながら配当の継続性を担保する方針である。
総じて、飯田グループホールディングスは、国内シェアNo.1という強固な事業基盤を維持しながら、ストック型ビジネスや海外展開といった新たな成長軸へのシフトを着実に進めている。インフレ経済への移行や環境規制の強化といった外部環境の変化を先取りし、「競争と協調」によって創出されるグループシナジーを最大限に活用することで、さらなる企業価値の向上と持続的な成長が強く期待される銘柄であり、今後の動向に大いに注目していきたい。
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