押収拒絶権が認められるのは、業務上委託を受けたもので、他人の秘密に関するものに限定されます。従って秘密といえない場合には、拒絶できません。また、秘密であっても秘密を保つべき本人が押収に同意したり、弁護士等の職業に対する社会的信頼を維持するためではなく、被告人が秘密の本人である場合を除いて無罪にするべく拒絶権を濫用した場合には、押収を拒否できません。
とはいえ、何が他人の秘密かは、この制度が業務に対する信頼の保護を目的にしているため、まずは委託を受けた弁護士等の判断になります。そして、秘密を託した人が守秘を依頼すれば秘密として扱われますから、秘密の本人である被告人や被疑者が守秘を求めれば、弁護士等が押収拒絶権を行使できるというわけです。
もっとも明らかに秘密でなくなったものの押収は拒絶できません。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2026年4月10日号