「押収拒絶権」とは何か?(田久保眞紀・前伊東市長。時事通信フォト)
学歴詐称疑惑が大きな騒動になった田久保眞紀・前伊東市長。代理人弁護士は「押収拒絶権」を理由に卒業証書の提出を拒否しているが、この「押収拒絶権」とはどんな権利で、どういったときに認められるのか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
いまだ理解できません。公選法違反などに問われている田久保前伊東市長が大学の卒業証書を捜査機関に提出しないことです。なんでも彼女の弁護士が押収拒絶権を振りかざし、拒否しているとか。卒業証書があるのなら、見せれば簡単に白黒はっきりつくのに、それを遮る押収拒絶権とは一体、何なのですか。
【回答】
押収とは刑事事件で裁判所の差押状に基づき、捜査機関が差押対象物を強制的に差押えて領置する行為です。これを拒否できる押収拒絶権は「医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者、又はこれらの職に在った者」〈以下「弁護士等」とする〉に認められています。
弁護士等は職務上、様々な秘密に属する事柄を預かります。預ける人は弁護士等から外部に明かされることはないと信頼しており、この信頼がないと安心して弁護士等に秘密を打ち明けられなくなります。そうなると、仕事が成立しません。つまり、弁護士等の守秘への信頼は、社会的にも保証される必要があります。
そこで『刑事訴訟法』は、弁護士等が「業務上委託を受けたため、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、押収を拒むことができる」と定めているのです。
