*12:39JST テクノスマート:広幅塗工で存在感、受注回復と次世代分野拡大に期待
テクノスマート<6246>は、産業装置メーカーであり、光学系・機能性フィルム用塗工乾燥装置、二次電池用塗工乾燥装置、フレキシブルプリント基板用塗工乾燥装置などを手掛ける。主力は、フィルムや金属箔などに液体材料を均一に塗布し、乾燥まで行う塗工乾燥装置であり、顧客の生産ラインの中核設備として導入される。単なる汎用品ではなく、顧客ごとの仕様に応じて個別設計する受注生産型ビジネスであり、設計力や立ち上げ支援力が重要となる。最終製品別では、ディスプレイ部品関連、機能性フィルム関連、電子部品関連、エネルギー関連に展開しており、複数市場にまたがる事業構造を持つ点が特徴だ。
同社の強みは、ロールtoロール方式に関する技術蓄積の深さにある。塗る、乾かすといった工程でキズやシワ、ムラがないよう高精度で制御する必要があるが、同社は長年にわたりディスプレイや機能性フィルム分野で実績を積み重ねてきた。特にディスプレイ分野では広幅装置に強みを持ち、大型化・高性能化が進む中で高い技術対応力が求められる領域に位置している。顧客の製品開発段階から入り込み、試作から量産設備納入まで伴走するため、一度採用されると継続取引につながりやすい点も競争優位性といえる。
2026年3月期第3四半期累計の業績は、売上高161億円(前年同期比14.5%増)、営業利益29億円(前年同期比26.7%増)となり、2ケタの増収増益を達成した。主因はディスプレイ部品関連機器の売上高が80億円(前年同期比50.0%増)と大きく伸びたことで、機能性フィルム関連も40億円(前年同期比2.6%増)と底堅かった。一方、エネルギー関連機器は32億円(前年同期比16.6%減)となり、EV向け設備投資の鈍化が逆風となった。売上総利益率は26.1%と前年同期の22.5%から改善しており、採算の良い案件構成が利益を押し上げた。
もっとも、第3四半期の高収益は、恒常的な収益体質の改善だけでなく、高採算の大型案件の寄与による面も大きい。会社側によれば、2024年3月期に受注したディスプレイ向け大型案件が2026年3月期の業績を押し上げており、2026年3月期並みの利益率が2027年3月期以降もそのまま継続するとは見込みにくい。一方で、受注高は144億円(前年同期比63.7%増)と大きく伸びており、案件数自体は増えている。受注残高は225億円(前年同期比15.1%減)だが、これは大型案件の進捗に伴う消化が主因であり、需要減速をそのまま示すものではない。機能性フィルム関連の受注も好調であり、来期以降の売上寄与が期待される。
2026年3月期の通期業績は、売上高200億円(前期比7.3%減)、営業利益30億円(前期比14.6%減)を予想している。第3四半期時点の営業利益進捗率は高いが、会社は高採算案件の反動や競争環境の変化を踏まえて慎重な見通しを維持している。市場環境を見ると、EV関連は依然として回復に時間を要する一方、ディスプレイ部品関連は国内外で需要が高く、機能性フィルム関連も底堅い。さらに、半導体や電子部品関連塗工機器の受注強化も進めており、将来の成長分野として期待される。
株主還元では、DOE5%以上を目標に安定配当を行う方針を掲げている。2026年3月期の年間配当予想は、従来予想88円から90円へ引き上げられ、前期比4円増配となる見通しだ。今回の増配は、期末配当に2円の特別配当を加えるもので、期末配当は46円となる。DOE5%を軸に安定還元を担保しつつ、業績や資本効率も踏まえて還元拡大を図る姿勢が示されており、還元意識は高い。装置メーカーは業績変動が大きい企業も多いが、その中でDOEを明示している点は個人投資家にとって安心材料になりやすい。
総じて同社は、EV向け設備投資の鈍化という逆風を受けながらも、ディスプレイ部品関連機器や機能性フィルム関連機器の堅調な需要を取り込み、業績を高水準で維持している。特に広幅塗工装置など高い技術対応力が求められる領域で強みを持つ点は評価できる。今後は半導体・電子部品向けの拡大余地もあり、案件構成次第で業績変動はあるものの、高い技術力、受注回復、安定配当方針を兼ね備えた企業として中長期で注目したい。
<YS>