6袋1581円の通販限定商品『今金男しゃく』(湖池屋提供)
「ポテトチップスは芋の味を活かしてナンボ」
その一方で、ポテトチップスを含めたスナック菓子に幼少期から慣れ親しんできた層の高齢化も進んでいる。スナック菓子を売るメーカーの元には高齢者から「スナック菓子を昔は食べていたが、ジャンク過ぎてもう食べられない。味付けも若い頃とは違う好みがある」といった声が届くようになったという。「ワシら爺さん婆さんは脂っこいものは食べんよ」とも。
2016年からのリブランディングにおいて、湖池屋は「本格・健康・社会貢献」という新しい価値をこれまでの商品に加味することを目指した。「すごくいい原料を使ってますよ!」といった情報を伝える必要が出てきたのだ。伊藤さんはこう語る。
「元々、弊社はポテトチップスで使うじゃがいも本来の味は重視していました。それが2015年から数量限定で発売している『今金男しゃく』というブランド芋を使った、6袋1581円の通販限定商品に繋がったのです。お客さんからは『お芋が違うとこんなに味が違うんだ!』と驚く声が多数当社には寄せられました。結局、ポテトチップスは芋の味を活かしてナンボ、ということになりました。2025年7月には、1kg7万円で取引されたこともあると言われる幻の品種『ボンノット』でポテトチップスを作りました」
1kg7万円で取引されたこともあると言われる幻の品種「ボンノット」(湖池屋提供)
フランスの地で門外不出とされていたボンノットの種芋を特別に分けてもらい、日本に持ってきて8年程の歳月をかけて育て、55g×4袋セットを2500円でオンラインサイトで販売したところ、3日で約1万セットが売れた。引き合いが強かったことを受け、今後も続けたいと考えているという。
昨今のポテトチップをコンビニ・スーパー・ドラッグストアで見ると「昔に比べると、内容量が減った」と思う人もいるかもしれない。しかし、「皆でワイワイ食べるスナック菓子」から「吟味されたじゃがいも本来の旨みを活かしたお菓子」という状況に変わってきている側面がある。小幡さんはこう語る。
「オンライン限定のハイブランドにしても、『その価格でも買いたい』というお客様の支持をいただいていると考えています。その一方、小売店で販売されているポテトチップスは確かに量が減っています。元々スタンダードの商品の場合90gが普通でしたが、現在は55gになっています。これは、仕事が終わった後や、休日の午後にテレビや映画を見ながら一人で一袋を食べきるのにちょうど良いサイズになるかと思います。大袋は子ども達や学生のパーティでワイワイと一気に食べるものでしょうね。
しかし、様々なモノの値段が上がったことから、90gで100円程という値付けは難しくなりました。量と価格の最適なバランスを検討しつつ、2000年代は75g、2009年頃からは60g、2025年には55gになっていきました。値段が上がる言い訳をしたいわけではなく、私達はこれからも本当においしいポテトチップスを皆さんにお届けしたい。さらには日本経済の向上にも貢献したい。そんな思いでポテトチップスを日々作っています」
後編記事『【日本のポテトチップス売上の約半分がBIG3フレーバー】国産で初めて量産化した湖池屋、創業フレーバー「のり塩」への特別な思い 3強に続く「サワークリームオニオン」にも手応え』では、ポテトチップスで「3強」といわれるフレーバーについて話を聞いている。
(後編につづく)
取材・文/中川淳一郎(ライター)

