*11:31JST ハークスレイ Research Memo:売上高・各利益ともに過去最高を更新(26/3 期)。植物工場買収で上流強化
ハークスレイ<7561>は、「中食(持ち帰り弁当)」「店舗アセット &ソリューション」「物流・食品加工」の 3 事業を柱に、 “食 ”の事業領域で多角的な M&Aを実行し成長する企業である。
1. 2026 年 3 月期通期の業績概要
2026年3月期通期は、売上高が前期比16.1%増の52,427百万円、営業利益が同58.3%増の3,057百万円、経常利益が同 44.3%増の 3,003百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同23.2%増の 1,483 百万円と、売 上高、各利益ともに過去最高を更新した。
売上高に関しては、成長ドライバーと位置付ける「物流・食品加工事業」が前期比5,667百万円増と伸びた。 これは2024年12月にM&Aを行った(株)ホソヤコーポレーションの連結効果等が要因である。また、「店舗アセット&ソリューション事業」では、稼働店舗数増加によるストック収入の増加に加え、不動産2棟の売却が期中に完了した。「中食事業」の売上高は、微減となった。
営業利益に関しては、販管費が主にM&Aの影響(のれん償却費など)により前期比9.1%増の13,697百万円と増えたものの、「店舗アセット&ソリューション事業」の不動産売却と事業拡大、「中食事業」でのコスト抵抗力の改善による通期黒字化(前期は営業損失)などにより売上総利益が同15.6%増の16,754百万円と順調に推移したことで大幅増益となった。「物流・食品加工事業」では、ホソヤコーポレーション取得によるのれん償却費の負担が重かったものの、セグメント利益で同 5.9%減の 835 百万円と一定の利益を確保する。
戦略セグメントである「物流・食品加工事業」が全社の成長をけん引し、「中食事業」が通期黒字化を達成したことで、3事業セグメントすべてが自立し稼ぐ力が着実に向上した。営業利益率では 5.8%であり、5年前(2021年 3月期)の 1.8%から利益構造改革が進んだ。
2. 2027 年 3 月期の業績見通し
2027年3月期は、売上高は前期比5.9%増の55,500百万円、営業利益が同8.4%減の2,800百万円、経常利益が同13.4%減の2,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.6%増の1,600百万円と、売上成長と一定の利益水準の確保を予想する。成長分野としては、物流・食品加工事業のさらなる成長が中心となる。新たに農産部門(M&Aにより植物工場による野菜生産及び販売事業を開始)が加わり、事業の成長とともに既存事業とのシナジー効果が期待できる。一方で、今期は農産部門の販売チャネル他の体制整備を最優先するため、費用先行を予想する。ホソヤコーポレーションが加わった食品加工部門や稲葉ピーナツを主体とした菓子製造部門は、原材料価格上昇など懸念材料を織り込んでいるものの、強みを活かした各種施策により順調な売上伸長が見込まれる。店舗アセット&ソリューション事業においては、ROA(総資産利益率)および営業キャッシュフロー改善を継続的に実行していく方針のもと、不動産売却を業績予想に織り込み、店舗リース・管理のストックを積み上げることにより成長を目指す。中食事業(持ち帰り弁当事業)では、包装資材、原材料価格などのコスト上昇も懸念されるものの、足元の底堅い推移が続く見込みである。弊社では、新規部門の立ち上げの先行投資がかかるものの、一過性であり、既存事業の収益力が上がっていることを背景に、インフレ圧力を乗り越えて利益目標を達成できる実力があると評価している。
成長戦略:食のサプライチェーンの上流(農産部門)に進出。植物工場を買収
同社はありたい姿(長期ビジョン)として、「食料の生産、加工、物流および消費に関わる一連の活動をプロデュースする企業グループ」を掲げている。食分野のサプライチェーンである、生産(農林・水産物)、加工・製造、流通・卸、小売をインテグレーションし、全体で利益を創出し、負けない経営基盤を構築する構想である。近年同社が力を入れているのが上流・中流分野であり、「物流・食品加工事業」を成長ドライバーとして、M&Aやオーガニックな成長を達成してきており、同社最大の事業セグメントになった経緯がある。2026年2月には、農産部門として、J リーフ株式会社を子会社化した。この会社は、国内最大規模の完全人工光型植物工場(成田ファーム)を運営し、工場内では、植物の生長に必要な条件を最適に制御された清潔な環境下で、日産3万株のリーフ系レタスを生産する。植物工場は、農業分野における社会課題である、人材不足や気象変動の影響などへの対策としても注目されている。同社では、販売、商品開発、物流、人材など幅広いシナジー効果を見込んでいる。
株主還元策:「前年を下回らない増配」が基本方針。2026 年 3 月期は 28 円(2 円増)、2027 年 3 月期は 30 円(2 円増)を予想
同社は、安定的な配当の継続を基本方針とし、将来に向けた成長投資に利益を配分するとともに、株主への利益還元重視の姿勢をより明確にするため、1株当たり当期純利益の伸長に合わせて「前年を下回らない増配を目指す」としている。中期経営目標では最終年度の2028年3月期に年間配当35.0円とする目標を掲げており、毎年2.0円から 3.0円前後の増配ペースが期待できる。2026年 3 月期は、好調な業績を背景に、年間配当 28.0円(同 2.0円増配、中間期 14円済、期末 14円)、配当性向 34.9%となった。2027年 3 月期は、年間配当 30.0円(同 2.0円増配、中間期 15円、期末 15円)、配当性向 34.7%を予想する。
(執筆:客員アナリスト 角田秀夫)
<HN>