*12:41JST INEST Research Memo(1):マルチチャネル営業により生活関連サービスを提供。ストック利益拡大を推進
■要約
INEST<7111>は、通信、宅配水、電力、ガス、各種コンテンツなどの生活関連サービスを、コンタクトセンター、イベントブース、店舗販売、Web等を中核としたマルチチャネル営業によって販売するマーケティング・セールスソリューション企業である。同社の特徴は、単一の販売チャネルに依存せず、顧客の意思決定プロセスに応じて複数のチャネルを組み合わせながら顧客接点を構築している点にある。年間約4,000回の催事・イベント、全国121店舗、約600席規模のコンタクトセンター※1を運営しており、年間約350万人の顧客接点と約85万件の契約実績を有する※2。これらの顧客接点を活用してストック利益を継続的に積み上げる営業プラットフォームを構築している。
※1 2027年3月期の開催見込み数及び2026年6月時点の実績。
※2 2025年3月期実績。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上収益で前期比4.1%減の18,185百万円、営業利益で同22.2%増の255百万円、税引前利益で同58.8%増の160百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同327.0%増の180百万円となった。(株)アイ・ステーションの売却に伴い売上収益は減少したものの、既存事業ベースでは増収を確保した。また、選択と集中による事業ポートフォリオの見直し、人員配置の最適化、自社会員サービス販売の強化などが奏功し、利益面は大幅な改善を実現した。特に第4四半期には販売件数及び顧客単価の上振れに加え、自社会員サービスの獲得件数向上が寄与し、営業利益は491百万円と大きく伸長した。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の業績見通しは、売上収益で前期比1.7%増の18,500百万円、営業利益で同139.1%増の610百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で同66.1%増の300百万円を見込んでいる。引き続き自社会員サービス比率の向上に伴い、利益に占めるストック利益の割合が拡大する見込みである。顧客接点数及び契約数の拡大に加え、クロスセルやアップセルを通じたLTV(顧客生涯価値)向上に取り組むことで収益性の改善を進める考えである。また、2026年3月に実施した事業整理や経営資源の再配置による効果も通期で寄与する見通しである。
3. 中長期成長戦略と株主還元
同社は2029年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上収益成長率年平均14%程度の成長を目指している。成長の原動力は特定のチャネルや商材ではなく、コンタクトセンター、イベントブース、店舗販売、Web等を組み合わせた統合顧客体験の高度化にある。さらに、自社会員サービスの販売拡大とストック利益比率の向上により、収益の安定性と成長性を両立する方針である。株主還元については、現時点では成長投資を優先する方針を維持している。営業人材の育成、自社会員サービスへの投資、営業基盤の拡充などに経営資源を重点配分することで、中長期的な企業価値向上を図る。
■Key Points
・コンタクトセンターやイベントブース等を中核としたマルチチャネル営業により生活関連サービスを販売
・年間約350万人の顧客接点を活用し、ストック利益の拡大を軸に利益成長と収益安定化を同時に推進
・2026年3月期は減収も、事業ポートフォリオの見直し等が奏功して大幅増益
・2029年3月期を最終年度とする中期経営計画において、売上収益成長率年平均14%程度の成長を目指す
■会社概要
顧客接点を資産化する営業プラットフォーム企業
1. 会社概要
同社は、宅配水サービス、インターネット回線、携帯電話回線、電力・ガスなど引越しや新生活開始時に必要となる複数のサービスの販売を中心とするマーケティング・セールス支援企業である。グループ会社を通じて、コンタクトセンター、イベントブース、店舗販売など複数の販売チャネルを運営し、個人顧客及び法人顧客に対して多様なサービスを提供している。
同社の特徴は、販売代理店としての機能にとどまらず、顧客接点そのものを経営資源として活用している点にある。年間約350万人に対して商品やサービスの提案を行い、年間約85万件の契約を獲得している。具体的には、年間約4,000回の催事・イベントを開催するとともに、全国約121店舗及び約600席規模のコンタクトセンターを運営している※。販売商材は宅配水、電力、ガス、通信サービス、自社会員サービスなど多岐にわたり、顧客ニーズに応じて最適なサービスを組み合わせて提案している。これらの顧客接点を活用することで、契約獲得だけでなく継続的なストック利益の創出につなげている。
※ 2027年3月期の開催見込み数及び2026年6月時点の実績。
また、顧客との継続的な関係構築を重視しており、販売時の一時的な収益だけではなく、継続課金型サービスを中心としたストック利益の拡大に注力している。自社会員サービス比率を高めることでLTVの最大化を図り、収益の安定化と利益成長の両立を目指している。
さらに、同社は「自社の活動を通じて、市場を共創し続ける。」というビジョンを掲げている。営業活動を単なる販売活動として捉えるのではなく、顧客と企業をつなぐプラットフォームとして機能させることで、新たな価値創造を目指している。
2. 沿革
同社の前身は1996年に設立された(株)ベンチャー・リンクコミュニケーションズである。その後、通信関連サービスを中心に事業を拡大しながら営業基盤を構築してきた。2013年には日本企業開発支援(株)(現 Linklet(株))を子会社化し、通信関連事業の強化を進め、2020年にはアイ・ステーション及びRenxa(レンサ)(株)を子会社化し、営業チャネルの拡充と事業規模の拡大を実現した。2022年には持株会社体制へ移行し、グループ経営の高度化を進めた。2023年には(株)ZITTO及びエフエルシープレミアム(株)を子会社化し、販売商材や営業機能の拡充を図った。2024年に小泉(こいずみ)まり氏が代表取締役社長に就任し、営業現場との連携強化や組織改革を推進した。
近年はM&Aによる規模拡大だけでなく、事業ポートフォリオの見直しも進めている。2026年3月期には同社の中での事業間シナジーが十分に生まれていなかったアイ・ステーションを売却し、顧客ターゲットをB2Cに絞る方針を明確にした。現在は自社会員サービス比率の向上とストック利益の拡大を成長戦略の中核に据えている。
2026年6月には、経営と事業が一体となった迅速な意思決定を可能とする経営体制への移行を目的として代表取締役体制を変更し、新たな代表取締役社長に坂本幸司(さかもと こうじ)氏が就任することが決定された。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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